検査のようす(その5)

 今回は、床と壁、天井の傾きのチェックについて、お話をします。

 私は、最後に必ず、床と壁、天井が傾いていないか、レーザーレベルによりチェックします。これは、何のためにチェックをするのかと言いますと、解りやすく言えば、建物とそれを支えている地盤が傾いていないかを確認するためです。
 昨年に東京のマンションで杭が支持地盤まで届いていないというのが原因で20mm建物が傾いているということで、大きな問題になりました。これが、新築時にそうなっていないかを確認するためです。ひょっとすると、これが、一番、重要な事かもしれません。
 
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 部屋の中央にレーザーレベルを据えて、床・壁の傾きのチェックをしているところ

 床のチェック方法法として、部屋の中央にレーザーレベルを据えて、四隅に床からスケールを当てて、床とレーザーの距離を計ります。これをくるりと360度回して、どこまで同じ距離ならば、全くの水平ということになります。しかしながら、全くの水平ということなど、ほとんど無く、通常は、5~10mm程度の誤差はあります。これが、瑕疵かどうかというのは、一般的に3/1000と言われます。1000mmに対して3mm、つまり、1mにたいしては、3cmということです。
 
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 床にスケールを当てて、床とレーザーとの距離を計る

  それ以上の誤差であれば、パチンコ玉を置いて、転がしてみます。この転がり方、右から左へ北から南へ一直線にコロコロと転がるようでは、建物全体が傾いているのではないかと心配され、詳細調査が必要です。転がるけれども、渦を巻くように止まるようでしたら、その部分だけへこんでいるということで大した問題ではありません。隅だけが、へこんで不陸があるようでしたら、タンスなどの家具を置いたときに壁や床に隙間ができてしまいます。

 壁の傾きは、どのようにチェックするかと言いますと、部屋の入り隅か出隅の壁の線にレーザーレベルの縦線を合わせます。この縦線が壁線からずれていたら、傾いているということになりますが、これも床と同じように5~10mm程度の誤差はあります。部分的の誤差は問題無いのですが、これが、全ての壁に対して、同じように傾いているとなれば、建物全体が傾いているのではないかと心配され、詳細調査が必要です。

 壁の傾きが部分的にでも10mmを超えてしまうようでは、タンスなどを置いたときに壁との間に隙間ができてしまうので、直す必要があるかもしれません。それ以内でしたら、問題はありません。

 天井に関しては、床と天井との距離をスケールにて測定します。隅にスケールを当てて、同じ距離であれば、特に問題無しということです。これの距離が違うようであれば、天井が傾いているということになります。天井の傾きに関しては、目視であきらかにおかしいと不快に感じなければ、そんなに問題にはなりません。

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 スケールで床と天井との距離を計る

 こうして、床・壁・天井について、傾きを計るのですが、実際にもう何百回とやっていますが、新築マンションでパチンコ玉が北から南へコロコロと転がるという現場に出会ったことは、一度もありません。ただし、部分的に2cm傾いていたというのはあります。その時は、床やクロスをめくってでも直してもらいます。パチンコ玉が北から南へコロコロと転がるというのは、地盤ごと傾いているということですので、これは大問題となります。それころ、杭がどうなっているのかという構造的な問題ですので、買わない方が良いということになります。

 こんなことに出くわさないためにも、やはり、事前にこのようなチェックはした方がいいですね。

 by Tadashi Yasumizu 2016.02.11

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