耐震診断の方法:一般診断(その1)・・・「建物の重量と地盤、建物の形」
← 土葺き瓦屋根の家 「非常に重たい建物」と評価される。
ここでは、耐震診断とはどのようなものか、どのようにして、診断するのか、その診断方法について説明します。
木造住宅における耐震診断には、一般的に(財)日本建築防災協会の「木造住宅の耐震診断と補強方法」による「一般診断」と「精密診断」がありますが、「一般診断」について説明します。「一般診断」は、簡易的な診断方法で建物の重量、地盤の状況、建物の形状、筋かいが入っているか入っていないかなどの耐力壁の有無、開口部の大きさ・位置、劣化状況、基礎の状況などにより判断します。
建物の重量は、大きく3つに分けられます。一つ目は、「非常に重たい建物」。二つ目は、「重たい建物」。三つ目は、「軽い建物」です。「非常に重たい建物」とは、屋根に土が載っていて、瓦葺きであり、壁は、土壁であること。「重たい建物」とは、屋根に土は載っていないが、瓦葺きであること。「軽い建物」とは、屋根がスレート葺きであったり、鉄板葺きであったりするものです。
一般的に「非常に重たい建物」は、「軽い建物」の1.7~2.2倍程度の重さ、「重たい建物」は、「軽い建物」の1.2~1.7倍程度の重さです。阪神淡路大震災で倒壊した家の特徴として、土が載った日本瓦の非常に重たい、昔の家が多数倒壊し、軽いスレート葺きのプレハブの家は全くと言っていいほど、倒壊しませんでした。これらからでもわかるように屋根は、重たくなればなるほど、倒壊しやすくなるのです。一般診断では、床面積あたりの屋根の重量による係数を決めて、掛け合わせて、必要な力がどれだけいるのかを計算します。
次に地盤の状況ですが、地盤にもいろいろな種類の地盤があるのですが、「一般診断」では、普通の地盤と非常に緩い地盤の2つに分けられます。その建物が大地震に耐えるための必要な力は、非常に緩い地盤は、普通の地盤の1.5倍を掛けることになっています。
次に建物の形についてですが、建物は、いろいろな形があります。細長い建物、正方形の建物、凹型の建物など。一般的に限りなく正方形に近い形が最も、地震強いのです。一般診断では、細長い建物、短辺方向が4m未満の場合は、通常のものより、1.13倍の強さが必要とされています。
非常に長くなりますので、今日は、このへんで、次回は、「建物の形状」から続きを説明します。
by Tadashi Yasumizu 2016.03.03