床の傾斜からわかること

床の傾斜の測定 ← 床の傾斜の測定

 築20年の建物調査に行きました。中古住宅を購入前の耐震診断のための調査でした。まず、家の中に入ると、階段を上がって、ホールに立った時、体が倒れるような感じがしました。リビングに入って、真ん中に立った時も同じような感じです。これは、明らかに床が傾斜している感じを受けました。

 そこで、レーザーレベルを据えて、床の高低差がどれだけあるかを測定しました。すると、2階の階段ホールにおいて、それは、畳4帖くらいの大きさですが、最大20mmあまりの高低差があります。リビングに関しても同じで、真ん中が20mm程度、へこんでいます。パチンコ玉を隅に置くと、真ん中に向けて転がっていきます。

パチンコ玉の転がり方によって、家の傾斜の状況が解る

 この転がり方によって、家全体がどのように傾斜しているのかが解ります。パチンコ玉を壁の隅に置いて、端から端に転がるようでは、家全体が傾斜しており、つまりは、地盤が不同沈下しているということになります。ところが、今回のように端にパチンコ玉を置いて、真ん中で止まるような転がり方であれば、床を支えている梁が反って、中央でたわんでいるということになります。ですので、地盤には問題無いということになります。

 また、階段ホールのような小さい部屋で高低差がある場合は、屋根の荷重が大きくて、その下の部屋に柱が無くて、屋根の荷重に耐えきれず、その部分の梁が反って、たわんでいるということになります。この場合にも地盤には問題はありません。

床に傾斜があれば、大地震の時に破壊されやすい

 いずれにしても、この状況は問題があるのでしょうか。この答は、問題有りです。パチンコ玉が端から端に転がるようでは、地盤の不同沈下が原因で家が傾いているということですので、これは、地盤が緩いということです。この状況で大地震がきた場合には、緩い部分が大きく揺れて、その部分の家が破壊されやすいということです。

 今回のように部屋の真ん中がへこんでいるということは、梁がたわんでいるということですので、家の荷重に対して、梁が小さいということで、大地震がきた場合には、弱い部分から破壊されるという事になります。

不同沈下している家の補強のしかた

 それでは、このように床の傾斜がある家はどのように対処したらいいのでしょうか。まずは、不同沈下している場合ですが、一番良い方法は、緩い部分を固くする地盤改良するか、基礎の下に固い地盤まで届くような杭を打つことです。しかしながら、これは、不可能ではありませんが、いろいろな障害があり、また、大きな費用がかかりますので、実質的には難しいです。

 現実的な方法としては、緩い分だけ、建物全体を強くすることです。この方法であれば、かなり現実的な方法です。ですので、傾いている家は、傾いていない家に比べ、補強箇所が多くなります。可能であれば、地盤改良する方がベストです。

梁がたわんでいる家の補強のしかた

 梁のたわみが原因で床が傾斜している場合は、家全体の荷重が大きすぎるということが原因ですので、原因となっている荷重を取り除くことです。この家の場合は、屋根が土葺きの洋風瓦です。ですので、この瓦をスレート葺きにするとか、金属版葺きにするとかして、軽量化を計るとよいという事になります。このようにする事により、大地震がきた場合には、倒壊から逃れる事ができます。

 by Tadashi Yasumizu 2016.09.03

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