外壁のひび割れ

外壁のひび割れ ← 外壁にはいった多くのひび割れ

 建物の調査に行って、よく目につくのが、ひび割れです。この間も建物調査に行ったのですが、外壁・軒裏に多数のひび割れがありました。耐震診断において、このひび割れの有無が地震に対して、強い建物か弱い建物かを評価するのに大きなポイントとなります。今回は、このひび割れについて、お話しをしたいと思います。

外壁にひび割れがあれば、その部分から水が浸入する

 建物には、外壁、軒裏、基礎など、いろいろなところにひび割れが出ます。このひび割れは、建物にどのような影響を与えるのでしょうか。木造住宅の場合、外壁にひび割れが出て、雨が降ると、あたり前ですが、その部分から水が浸入していきます。浸入した水はどこにいくかというと、まず、外壁をつくっているモルタル面(セメント面)の裏に水が廻ります。

 モルタルは、どのようにして、木軸面にとめているかというと、メタルラスといって、金網状のものが、防水シートにホッチキスの針のようなもので留めてあります。そのメタルラスとか、ホッチキスの針は水に非常に弱くて、水がかかるとすぐに錆びて、腐食してしまいます。それが、錆びてしまうとどうなるかというと、モルタルが剥がれやすくなるのです。

外壁メタルラス貼 ← 外壁には、防水シートの上にメタルラスが貼られている

メタルラスが腐食すると、地震時に外壁がめくれ落ちる

 特に地震がくると、健全な部分に比べて、腐食している部分は、弱いので、その部分がまず、剥がれ落ちることになります。それが、1階部分であれば、大きな被害にならないかもしれませんが、2階部分とか、軒裏ともなると、非常に危険です。また、地震がこなくとも、モルタルといのは、非常に重たいものなので、いずれは、その重みで、突然に壁がめくれて、落下する場合もあります。

 このように非常に危険であることは、ご理解いただけたかと思いますが、浸入した水がずっとモルタル面の裏に溜まっているとどうなるでしょうか。基本的に木下地の上には、防水シートが貼ってありますので、すぐに悪い影響がでるわけではありません。しかしながら、それを放置している状況が長く続くと、その防水シート自体が健全な部分に比べて、劣化しやすくなるのです。

 劣化した防水シートはどうなるのでしょうか。当然のことながら、防水性能は衰えていき、いずれは、水漏れを起こすことになります。水漏れを起こした部分から、さらに水が浸入して、ついには、柱・梁・土台などに水分が含まれると、シロアリの恰好の棲家となり、それらを腐らせてしまします。こうなると、もう、致命的です。腐った柱・梁・土台を放置しておくと、地震が来たらその部分から破壊されてしまいます。

腐食した柱・土台 ← 水の侵入により、腐食した柱・土台

ひび割れを発見したら、まず、調査する

 そしたら、ひび割れがあったら、どうしたらいいのでしょうか。それは、ひび割れを見つけたら、直しましょうということです。しかし、直さなければならないひび割れの目安というのがあります。それは、ひび割れの幅が0.3mm程度以下の小さいもの(ヘヤークラックと言います)であれば、ほとんど問題無いということです。0.3mm程度であれば、そのひび割れは表面的なものであり、奥の深いところまで、達していないだろうということです。

ひび割れの補修 ← ひび割れの補修(Vカットしたところ)

 ここで、直すといいましたが、その前に大切なことがあります。特に大きなひび割れが多数あって、放置している期間が長い場合であると、外壁のメタルラスが腐食して、モルタルが浮いている場合があります。もし、浮いているようであれば、その部分は危険なので、めくってしまい、やり替えるか、可能であれば、樹脂(接着剤)などを注入して、めくれないように処理をしなければなりません。また、柱・梁・土台が腐っているのではと疑うことが必要です。天井裏や床下にもぐって、雨漏りしていないか、腐っていなかの確認をする必要があります。そして、もし、本当に腐っていれば、取り替える必要もでてきます。

建物には、定期的な点検が必要です

 ひび割れといのは、怖いものです。ひび割れは入るものですので、見つけたらすぐに建築士などの専門家に見てもらう必要があります。定期的な点検をするのが一番、良い方法です。いずれにしても、必要ならば、すぐに補修をしていけば、問題ありません。点検と補修、この繰り返しが建物を長く、安全に安心に使えるコツです。

 by Tadashi Yasumizu 2016.09.04

 

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