天井裏からベキベキという木が割れる音がする。
← 梁が割れている
天井裏からベキベキという木が割れる音がして、家が壊れるのではないかと不安になるから見てほしいという依頼で調査をしました。天井裏を見ると、確かに梁が割れています。
木材から割れる音が出る理由として、伐採されて間もない木材は、水分がたっぷり含まれています。水分がどれだけ含まれているかを示す数値として、含水率があります。含水率というのは、水分が全く、含まれていない絶乾状態の重量と水分が含まれている木材との比率を言うのですが、通常、比較的よく乾いている木材であれば、含水率は、15%程度であると言われています。そして、この15%程度の木材が、構造材として柱や梁などに使用されることが多いのです。
木材は、通常、伐採されてから、水分が蒸発して、乾燥していくにつれて、縮んでいきます。そして、縮んでいく際にバリっという音が出ます。縮んでいくと、木が割れたりします。しかしながら、乾燥していくにつれて、強度は高くなっていくという特徴があります。
書類を調査してみると、契約書の減額明細書において、含水率は、18%となっていました。つまり、通常の木材よりは、若干、水分が高目のものを使用しています。これは、乾燥される手間が省かれる分だけ、15%の木材よりも安価で手に入ります。水分が多い分、時間が経ち、蒸発するに従い、木が縮み、バリっという音が出て、割れも生じます。
しかし、これが欠陥かと言えば、そうではありません。逆に乾燥していくにつれて、木の強度は増していくので、良い方向にむかっていることになります。よく、音が出たり、割れが出たりすることは、欠陥ではないかと言われることがありますが、これは、自然現象であり、欠陥ではありません。まして、これが原因で強度が落ちて、地震の際に倒壊するという原因にはなりません。
ただ、少し、気になることは、木が縮むに従い、梁同士を接合しているボルトが緩むことが挙げられるのですが、それを1階和室の天井裏から確認したところ、下の写真の通り、ボルトには、スプリングワッシャーが使用されています。(赤丸で囲っている部分)
このスプリングワッシャーが使用されていれば、ボルト、ナットが緩んでも、スプリングワッシャーの反発力によって押し付けられ摩擦力が増し、ボルトやナットが緩みにくくなります。しかしながら、あまりに縮みが大きくなるとたとえ、スプリングワッシャーが組み込まれても緩む場合もあるので、今後、リフォームなどで天井裏を開けることがあった場合には、ボルトに緩みがないか点検されることが必要となります。
by Tadashi Yasumizu 2017.02.01