紛争を防ぐために・・・・ホウ・レン・ソウの大切さ
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建築紛争の相談をよく受けます。つい最近でも、「図面も出さずに、できあがれば、言ったこととが出来ていない。」、「隣で宅地開発をしているけれど、いきなり、工事を始めて、振動・音・埃が異常である。」、「隣に老人ホームができたが、廊下の窓が接近しすぎて覗かれる。」、「新築住宅を建てたが、施主支給のサッシュから雨漏りがする。」、「リフォームしたけれど、床が傾斜している。」などなど、いろいろなことが原因で紛争になります。
これらの相談を受けて、いつも、思うことは、どうして、事前に防ぐことができなかったのだろうか、ということです。紛争になると、訴える方も訴えられる方も費用も時間も労力もかかり、精神に大きな苦痛が伴います。なってしまったら、何とか、解決するしかないのですが、紛争にならないように事前に防止することが大切です。
ここで、どうしたら、紛争を防止できるのか、考えてみました。よく、ビジネスの世界で、「ホウ・レン・ソウ」という言葉があります。ホウは相談、レンは連絡、ソウは相談です。これは、ビジネス社会に限らず、建築する上で紛争を防止するのに、とても大切なことと思います。
「リフォームしたけれど、床が傾斜している。」を例としてあげてみると、まず、「報告」ですが、リフォームする際には、工事をする前に必ず、調査を行います。床が傾いているかどうかは、事前に調査をすればすぐに解ることです。ところが、後になって、クレームになるということは、調査したときに、十分は報告が十分にできていなかったということになります。
次に、「連絡」です。報告と似ているところがありますが、工事中に床が傾いているということが解ったならば、職人が監督に、監督が工事監理者に、工事監理者が施主に素早く、正確に連絡をしなければなりません。「相談」ですが、これは、報告・連絡を受けた者が、床が傾いているけれど、どうしましょう。と相談しなければなりません。
現場から報告・連絡を受けた工事監理者は、すぐにでも、施主や設計者に相談して、その対策をしなければなりません。早ければ、すぐに対策をすることができます。工事の途中にでもわかれば、工法を工夫することにより、防ぐことはできたと思います。その時に、施主に相談しておれば、費用の確保も容易にできたでしょう。ところが、これをすることなく、できあがってから、床が傾いていると解り、これが、施主に解り、受け入れることができないとなれば、すぐに、お金は払えないということになり、紛争になるということです。
紛争を防止する上で、大切なことは、この「ホウ・レン・ソウ」であると思います。何かあれば、すぐに報告・連絡し、相談を持ちかける、この作業をしっかりとやれば、絶対に紛争は防止できます。
by Tadashi Yasumizu 2017.05.21