鉄骨梁の腐食
← 腐食した鉄骨梁
あるワンルームマンションの壁から雨漏りするということで、調査に行きました。バルコニーの軒裏の一部をめくり、覗いてみると、漏水して、鉄骨梁がかなり、腐食しています。さらに、腐食している部分を詳しく見ると、下の通りです。
ここまで、腐食するとかなり、危険ですね。梁の平の部分にデッキプレートが載っていますが、この掛り部分が特に腐食がひどいです。仮にも大きな地震がくると、おそらく、この部分から破壊されるでしょう。この部分が破壊されると、バルコニーの床が落ちてしまいます。そうなると、建物が崩壊して、命まで失うとも限りません。
上の写真は、バルコニーの床に排水口の竪樋が貫通している箇所です。縦樋廻りからの漏水がひどいですね。そして、梁が交差している部分のボルトもかなり、腐食しています。
上の写真は、この縦樋を上から見たところですが、受け皿(ルーフドレン)が完全に腐食して、防水機能が無くなっています。
これは、天井を吊っているボルトですが、これも、かなり腐食して、根本部分は、危険な状態です。これが、落ちるのも時間の問題かもしれません。もし、これが落ちるとなると、天井が落ちることになります。東日本大震災の時でも、体育館などのような大規模施設の天井が落ちて、大きな問題になりました。まだ、ワンルームマンションですので、仮にも落ちたところで大きな災害にはならないかもしれませんが、これが、大規模施設なら、ぞっとしますね。
建物は、こまめに点検、不具合があれば、すぐに修繕することが大切
正直、ここまで、腐食してしまうと、これを修繕するのは大変です。全部、天井をめくって、詳細調査をして、これは、危険と思われるところは、全て取り替えなければなりません。特に不特定多数の人が集まる施設とか、賃貸マンションともなると、もし、これが原因で、本当に人の命を落とすということになると、これは、所有者の責任になっていまいます。
そこで、大切なことは、こうなる前に定期的に点検を行い、不具合が見つければ、すぐに修繕するという態度が大事です。これが、早ければ早いほど、費用も少なくて済みます。目先に調査、修繕費用の出し惜しみをして、先延ばしをすると、したその分、大きなしっぺ返しとなるのです。
ここで、大切なことは、建物は完成したら、すぐに劣化は始まるのです。こまめに定期点検をして、悪いところがあれば、すぐに直す。これは、人間の体と一緒です。発見が遅くなると、もう手遅れ、命までも落とすことがあるのです。これを忘れることなく実践しましょう。
by Tadashi Yasumizu 2017.06.16