打合せには必ず記録を、トラブル回避には覚書を
⇐ サボテンの花
先日、ある施主から、このような相談がありました。「マンションの全面リフォームをしたのだけれど、クロスに凸凹があって、非常に気になります。それを工務店に直して欲しいと頼んだけれど、工務店は、『それは、許容範囲であり、凸凹がでるのは、リフォームだからそうなることは事前に伝えていた、』と言って応じてくれない。」という内容の相談でした。
すぐに現場に行ったところ、正面から見ると、ほとんど解らないのですが、横から光を照らすと、確かに下地の凸凹が影となって、見えてしまいます。これについて、工務店に問い合わせをしてみると、「こうなることは、もともとあった壁のクロスをめくって新しいクロスを貼るから凸凹がでることは、ある意味、やむを得ない事である。また、貼って欲しいと依頼してきたクロスは、薄いクロスのため、凸凹がでる可能性はありますよ、ということをはっきりと伝えて、了解を得ていた。凸凹がでたのは、結果論であるから、その貼り替えの費用は、こちらではもたない。」ということでした。
これをそのまま施主に伝えると、「確かに凸凹がでるかもしれないことは聞いていたけれど、了解した覚えはない。サンプルには、リフォーム用クロスと明確に書いてあるし、そのクロスが凹凸がでるのかどうかをメーカーに確認して欲しいと依頼したが、それに対する明確な答えはなかったから、大丈夫と思い込んでいた。だから、こうなったのは、工務店の責任である。」ということでした。
このように、どちらも自分の正当性を主張するので、どちらが正しいのかを判断するのは困難です。結果論をいうと、トラブルを起こすようなクロスを貼ってはいけないし、また、メーカーは、そのようなクロスをリフォーム用と称して出してはいけない、それでも、施主が貼って欲しいというのであれば、そのリスクを十分に理解していることが大切です。全ての面で責任が曖昧なのです。
リスクが高いようなことをする際には、覚書までとることが必要です。そして、打合せの際には、第三者が横についている必要もあります。言った言わないが出てくることも、しばしばあるので、必ず、打合せ記録をとり、捺印までもらう必要もあります。また、打合せ内容を録音することも良い手段です。このようにして確認し合えば、トラブルは回避できます。
by Tadashi Yasumizu 2017.08.24