基礎のひび割れ
⇐ 基礎の調査
耐震診断などで既存建物の調査する際には、必ず、床下にもぐります。床下には、建物の構造に関して、様々な情報があります。その中で基礎コンクリートの中に鉄筋があるかどうかの調査は、耐震性を知る上で特に重要な要素といえます。
工事中の写真や図面、検査済証などで鉄筋の有無が確認できる場合はいいのですが、そのようなものが無い場合には、鉄筋探査機などで確認することができます。鉄筋探査機は、コンクリートの表面に機械を当てて、なぞってみると、ビーという音が出て、赤色のランプが表示されます。もし、鉄筋が入っているかどうかの確認ができていなければ、鉄筋は入っていないと判断します。
⇐ 鉄筋探査機による調査
通常、鉄筋が入っていれば、200~300mm間隔くらいで反応します。入っていなかったら、何の反応もしません。ところが、1500~2000mm間隔で反応することもあります。これは、基礎と土台とを緊結しているアンカーボルトに反応していることになります。今では、鉄筋が入っているのが当たり前ですが、昭和50年代以前になると、入っていない場合が多々あります。
鉄筋が入っていなければ、どうなるのでしょうか。考えたらすぐに解るかと思いますが、入っている基礎に比べて、弱く、大きな地震が来たら基礎から壊れやすくなります。
⇐ 鉄筋が入っていないのが原因でひび割れができた
この写真は、基礎コンクリートの中央部に大きなひび割れが見られました。幅は、2mm程度あり、表から裏に貫通しています。おそらく、阪神大震災時に生じたひび割れと思われます。鉄筋探査機を当てても何の反応もしなかったため、鉄筋は入っていないと判断しました。また、鉄筋がきちんと入っておれば、このようなひび割れは生じなかったものと思われます。
⇐ 換気口廻りのひび割れ
また、換気口のような開口があれば、その部分は、他に比べて、弱くなります。するとその部分に大きな力が加われば、その部分から割れやすくなります。それを防ぐためには、開口廻りには、鉄筋で補強する必要があります。
耐震補強工事においては、このように鉄筋が入っていない基礎の上家を補強したところで、基礎から壊れてしまったのでは、元も子もありません。せめて、壁を補強する部分の直下の基礎は、鉄筋コンクリート造の基礎で補強されることが望まれます。
by Tadashi Yasumizu 2017.10.10