耐震補強計画の事例

 リフォームは、耐震補強工事をする際に絶好の良い機会です。まず、耐震診断を受けて、評点が1.0以下ならば、リフォームと同時に耐震補強工事を行なうことをお勧めします。ここで実際に耐震補強計画をどのようにするのか、実例をあげて詳しく説明します。

 

耐震リフォーム概要

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 昭和48年完成の木造2階建て住宅。阪神・淡路大震災により被害を受けた建物。延床面積 72.2㎡ の小規模住宅。
 1階の和室と洋室を一室にして大きく居間・食堂とする。水廻りは狭く、劣化が著しいので全体的に広げる。1、2階共、床は劣化し、へこんでいるので、やり替える。2階の便所も使いにくいので、やり替える。同時に耐震補強も行う。

築年月 昭和48年5月
形態種別 一戸建ての住宅
構造 木造軸組工法 2階建て
床面積 1階:42.2 ㎡ 2階:29.8 ㎡ 延べ床面積:72.2 ㎡

 

現状平面図

現場調査の結果 

外回り

  • 外壁は、モルタル塗りの上吹付で、ところどころにひび割れがる。
  • サッシュ廻り、外壁との取り合いには、隙間が多くあり、コーキングも劣化している。
  • バルコニーの防水は、劣化し、手摺は錆びて、壁との取り合いには隙間がある。
  • 樋や庇の鉄板は、塗装が剥がれ、劣化が著しい。

内部

  • 内部の床は、腐食して、凹みがある。
  • 内部の壁は綿壁で、至る所に雨漏り跡、結露跡、カビが見られる。
  • 浴室・便所のタイルは、割れて、隙間が多くある。また、浴槽との取り合い部分は、コーキングが劣化して隙間がある。

床下

  • 床下は点検口が無いために確認できないが、基礎の高さから、地面に近く、また、換気口も無いために、湿気が多いと推測する。
  • 土台・柱なども腐食している可能性がある。

小屋裏・天井裏

  • 小屋裏を見ると、柱頭、柱脚 に金物が設置されておらず、筋かいも確認できない。
  • 南北方向は、開口が多く、壁がほどんどない。

 

耐震診断の結果

 調査のデーターをもとに日本建築防災協会による“木造住宅の耐震診断と補強方法(一般診断)”に準じて耐震診断を行うと、評点は  0.09で、大地震が来ると 「倒壊する可能性が高い。」となっており、耐震補強工事が必要である。

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※ あんしん住宅相談室では、耐震診断ソフトとして、㈱インテグラル社のホームズ君「耐震診断Pro」を使用します。

 

耐震補強の方針

 (財)日本建築防災協会「木造住宅 の 耐震診断と 補強方法」により、補強計画を立てる。南北方向に壁が無いので、間仕切り壁を新設する。そして、柱頭・柱脚に接合金物を 設置し、 構造用面材によりその壁を補強し、耐力壁にする。耐力壁の基礎は鉄筋コンクリート造とする。樋、コーキング、防水、床など劣化している部分は、やり替えて劣化の改善を計る。 

 

リフォーム後の補強計画図

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補強のポイント

  • 2階の和室以外は、柱と梁の骨組まで解体する。
  • 水廻り(浴室・洗面所・便所)をリフォームするので、その部分に集中して耐力壁を設置する。
  • 耐力壁には、柱頭と柱脚、筋かいに接合金物を設置する。
  • 耐力壁を設置する部分には、鉄筋コンクリート基礎をつくる。
  • 全体的にベタ基礎として、防湿対策も兼ねる。
  • 玄関と家事室の外壁部分には、耐力壁が無いので、新たに耐力壁を設置する。その耐力壁の長さは、600mmしかとれず、筋かいは効き目がないので、構造用の合板を使用する。
  • 2階部分の評点は、さほど、悪くないので、最小限洋室と和室の床の間のみの補強とする。
  • 劣化部分(床のへこみ、サッシュ廻りの隙間、タイル廻りの劣化、バルコニー防水の劣化等)は、全て、改善する。

 

基礎の補強方法

間仕切りを新設する部分には、新たに鉄筋コンクリート造の立上り基礎を新設する。
外周など間仕切りを新設しない部分は、既存の基礎に添って、新たに鉄筋コンクリート造の立上り基礎で既存部分を補強する。

 

補強後の評点

 補強計画図をもとに日本建築防災協会による“木造住宅の耐震診断と補強方法(一般診断)”に準じて耐震診断を行うと、評点は  1.55で、大地震が来ると 「倒壊しない。」となった。

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