カビ調査(その3)・・・地下室にカビが発生したワケ

 地下室においては、どのような建物でも湿気が多く、カビが発生しやすい状況にあります。その原因は、何なのでしょうか?具体的に調査して結果から、考察してみます。

地下ピットの調査

 カビが発生した原因は、この場合、湿気なのですが、では、この湿気はどこからきたのか、調査しました。いろいろと調査した結果、地下ピットに多くの水が溜まっていることが解りました。それでは、なぜ、このピットに水が侵入し、溜まったのでしょうか。

ピットに溜まったヘドロ ⇐ 地下ピットに溜まった水とヘドロ

地下ピットに水が溜まった原因

 まず、考えられることは、雨が降った際に建物の周辺から浸透してきたこと、地下水位がピットよりも高く、地下水が浸入してきたこと、などが考えられます。もともと、どの敷地でも、雨水や地下水は存在するものであり、問題は、それらの水が浸入することを阻止するための対策がきちんとなされていたのかということです。

 竣工当時は、防水がきっちりとなされていても、防水が劣化したり、地震などで、防水が切れたり、大雨などで想定外のところから、水が浸入することが多々あります。完全に水の浸入を食い止めたいところであるが、完全に止水するというのは、現実、かなり困難なのが現実です。地下鉄の通路などでもあちこちで漏水が起きています。これは、防水の劣化が原因であることが多いのです。

IMG_8652 ⇐ 地下鉄通路天井からの漏水

水の侵入を防ぐには

 それでは、この水の侵入を防ぐためにはどうしたらいいのかと言いますと、防水をやり直すということです。防水の方法としては、外防水と内防水があり、良いのは外防水です。外防水は、建物の外壁に防水して、水の侵入を食い止める方法なのですが、ここは、地下ですので、外壁は土で埋もれているために掘り起こして再度、防水をするというのは不可能です。

 それでは、内防水ということですが、これは、内部の床と壁、天井を防水するので、比較的、容易にできます。ただし、外からの水の侵入を根本的にとめているのではなく、壁を透過して内側の防水層でとめているために内部の鉄筋が水に触れて、腐食してしまう危険性はあります。本来は、新築時に手を抜くことなく、耐用年数の長い耐久性のある防水層をしっかりと作ることが必要です。

 それでは、浸入してきた水はどうしたらよいのかというと、少しでも早く、確実に排出しなければなりません。しかしながら、この床下のピットは、そのような状況ではありません。ピットの底は、ヘドロが堆積し、地中梁には排水口があるものの、そのヘドロが邪魔して、水が流れるようになっていません。そのために、常に水が溜まっている状態なのです。

カビを防ぐには

 本来、ピットの内部までも、定期的な点検が必要なのです。定期的に点検して、清掃さえきちんとできておれば、水が溜まることはなく、乾燥した状態を保つことは可能なのです。乾燥した状態であれば、カビの発生は、かなりの高い確率で阻止することができます。

湿気る原因は、床の構造にも問題がある

IMG_3120 ⇐ 床は、コンクリートの上に絨毯が直に敷かれている。

 また、床の構造にもよる場合があります。どうなっているかと点検口の断面を調査したところ、コンクリートにモルタルが塗られ、その上に直にカーペットが敷かれています。この床には、湿気を排除するための空間がなく、床のコンクリート、モルタル、カーペットを湿気がそのまま、透過している状態です。カーペットは、常にジメジメと湿っています。

地下室の場合、床は二重床にするのが得策

 地下に事務室のような居室を設ける場合は、床コンクリートに直にジュータンを敷くのではなく、二重床にして、空気層を設け、コンクリート下からの湿気をシャットアウトすることが得策です。そして、その空気層は、給気口と排気口を設け、通気できるようにすればよいのです。

換気設備の問題

IMG_3345⇐ 湿気を排除するために適切な換気設備が必要

  また、換気設備が十分に機能していたのかどうかという問題があります。湿気を排除する方法として、換気設備(強制換気)は、有効な手段です。この地下室の状況は、どうかということで確認してみたところ、以前に設備業者が点検にきたけれども、その業者によると、地下の換気設備は、地上1~8階に設置されているものの同じものであるが、地下であるための特別な措置はとっていないものと言っているようです。一応、換気扇は設置してはいるが、放出される湿気の量をはるかに超えているものと思われます。

続く・・・・カビ調査(その4):改善方法

 by Tadashi Yasumizu 2019.03.17

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