カビ調査(その4)・・・改善方法

 それでは、これら一連のカビ対策は、どのようにしたらよいのでしょうか。地下ピットの水の浸入を少しでも緩和し、入ってきた水を排除し、そして、適切な換気により、大部分、改善されます。

水の侵入を防ぐ

 水の浸入は、本来、外防水により食い止めるのが理想なのですが、今となってみれば、外防水をやり直すことは不可能です。それでは、どうしたらよいかというと、今からできることは、内防水です。今は、ピット内部は、水が浸入しやすい状況にあるため、その内部を綺麗に清掃した上で、内防水をするのが得策です。

 防水の仕様は、十分に検討した上で、最も信頼性の高いものを使用します。そして、水がスムーズに流れるよう、適切な勾配、排水口が必要となります。

 

外壁面は、ブロック積などして二重壁にする

 そして、外壁面であるが、現在は、コンクリート壁から10cm程度離して、ブロックを積み二重壁とするのが良い。そして、その二重壁の中に溜まった水の処理方法が大切となります。二重壁の中に水が溜まってしまっては、外壁から漏水を起こし、床下と同じように湿気が充満し、壁からカビが発生することになるので、その排水対策がしっかりとれているかが重要です。

地下外壁からの漏水 ⇐ 地下外壁からの漏水、カビの発生

 

定期的な点検 

 床下、壁面をしっかりと止水することが、改善の第一条件ですが、それでも、水はよく浸入します。水が浸入すれば、さらに浸入しないように再検討が必要なのですが、ある程度は、浸入を覚悟して、いかに浸入した水を排除して乾燥した状態を保っているかが、ポイントです。
 
 そのために、定期的な点検が必要となります。床下ピットは、常に綺麗な状態であるか、水はスムーズに流れているか、必ず、定期的に点検し、もし、異常があれば、速やかに改善しなければなりません。

 

部屋の床と壁・天井の構造

 今は、床から湿気が上がってきている。これを防止するためには、床を二重構造にして、コンクリート床版と床下地の間に空間をつくり、この空間を換気することも良い方法です。また、壁・天井は、断熱材ですっぽりと覆うようにして、壁・天井下地のボードは、湿気を吸わないセメント板を使用し、隙間から湿気が漏れないように目張りをして、気密性を高くする。このようにすることにより、湿気を完全にシャットアウトすることができます。このようにして、室内の空気は、乾燥状況を維持することができるのです。

 

適切な換気計画

 人間が快適に仕事を行うための適切な環境、温度・湿度というものがあります。空気調和設備機器に関しては、厚生労働省は、「空気調和設備等の維持管理及び清掃等に係る技術上の基準」に従い、その維持管理に努めなくてはならないとしています。そして、特定建築物維持管理権原者(特定建築物の所有者、占有者その他の者で当該特定建築物の維持管理について権原を有する者 以下、建物管理者もしくは、管理者)は、建築物衛生法に規定される「建築物環境衛生管理基準」に従って当該特定建築物の維持管理をしなければならないとしています。また、「建築物環境衛生管理基準」の中では、空気調和設備等は、「空気調和設備等の維持管理及び清掃等に係る技術上の基準」に従い、相対湿度は、40~70%に適合するようにとされています。

 これ以上の湿度であると、カビが発生し、とても、仕事ができる環境でなくなってしまうので、これを改善するために、機械による適切な調整が必要です。

続く・・・・カビ調査(その5):エピローグ(まとめ)

 

 by Tadashi Yasumizu 2019.03.18

 

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