昭和56年以前の建物は、なぜ危険?(その1)
阪神・淡路大震災が発生して早くも25年にもなろとしています。毎年1月になると、建物の耐震性が話題になり、耐震診断の仕事も増えるのですが、それでも、廻りを見ると、劣化したまま、放置している家が多く見られます。
なかなか進まない建物の耐震化
大地震が発生しても倒壊しない安全な建物であるために国土交通省では、建物の耐震化率を平成32年までに少なくとも95%にし、平成37年までに耐震性が不十分な住宅をおおむね解消することを目標とし、耐震化の促進を図っています。平成25年時点の耐震化率は、住宅が約82%、多数の者が利用する建築物が約85%となっています。しかしながら、周辺では、まだまだ、耐震化は進んでいるとは言えないというのが現実かと思います。
⇐ 阪神・淡路大震災では、多くの建物が倒壊した。(神戸市HPより)
なぜ、耐震化が進まないのでしょうか。大きな理由として、自分のところは大地震が発生はしない、この間、大きな地震が起きたから、もう起きない。年金生活だからお金がない。古い家にお金をかけるのはもったいない。工事で生活が乱されるのがいや。など・・・様々な理由があります。
阪神・淡路大震災においては、昭和56年以前の建物が多く倒壊しました。そして、今でも昭和56年以前の建物は、多く現存しています。ここでは、なぜ、昭和56年以前の建物(古い建物)が倒壊しやすいのか、考えてみたいと思います。
昭和56年以前の建物(古い建物)における建物の特徴
昭和56年以前の建物(古い建物)における一般的な状況の特徴としては、以下の通りです。
- 外壁、軒裏、基礎に多数のひび割れがある。
- 屋根材の劣化が著しく、割れ、ズレ、腐食などが多数ある。
- 樋が劣化して、受金物が垂れ下がり、軒樋は、受桝から外れている。
- 防水が劣化して、ひび割れが発生している。
- 部屋の各所で雨漏りをしている。
- 柱頭・柱脚、筋違いに接合金物がない、留めている釘は腐食している。
- 屋根材は、土葺き瓦で、非常に重たい建物になっている。
この状況により、大地震が発生した際の被害はどうなるのかを考えてみましょう。
続く・・・・昭和56年以前の建物は、なぜ危険?(その2)
by Tadashi Yasumizu 2019.03.19