構造上の問題がある物件

構造上の問題がある物件は、安全性や耐久性、耐震性に深刻な影響を及ぼす可能性があります。以下の点について、詳しく解説します。

 

1. 基礎の問題

 基礎は家の重さを支え、地面に伝える重要な役割を持っています。基礎に問題があると、家全体の構造に影響を及ぼすことがあります。

亀裂やひび割れ

 土地の沈下や地震などで基礎に亀裂が入ると、水が侵入しやすくなり、さらに損傷が進行する可能性があります。

浮き上がりや沈下:

 土壌の不均一な圧縮や水分による影響で、基礎が部分的に浮き上がったり沈下したりすることがあります。

 

2. 柱や梁の損傷

 柱や梁は建物の骨組みを形成し、屋根や階層の重量を支える役割を担います。

腐食や虫害

 木造の場合、時間とともに湿気や虫害によって柱や梁が弱くなることがあります。特にシロアリの被害は重大です。倒壊の大きな原因の一つは白蟻害です。

構造的な不備

  改築や増築の際に、元々の設計に合わない方法で施工されると、構造的なバランスが崩れ、将来的に問題を引き起こす可能性があります。

 

3. 屋根や外壁の損傷

 屋根と外壁は外部からの環境(雨、風、温度変化)から家を守る重要な部分です。

屋根の瓦のずれや損傷

 屋根の瓦がずれると雨漏りの原因となります。また、台風や強風で瓦が飛ばされることもあります。

外壁のひび割れや剥がれ

 外壁の塗装が剥がれたり、ひびが入ったりすると、防水機能が低下し、内部への水の侵入を許してしまいます。内部に水が浸入すると構造材、壁下地が腐食し、白蟻害の原因となります。また、モルタル塗りの場合であれば、ラス金網が腐食し、いずれは外壁が剥落し、大きな事故にもなりかねません。

 

4. 耐震性の欠如

 耐震性とは、建物が地震の際に受ける揺れに対してどの程度耐えることができるか、という性能を指します。この性能は、建物の安全性や利用者の生命を守る上で非常に重要です。以下に耐震性に関する詳しい説明をまとめます。

耐震性の基本

  1. 構造体の強度

     建物が地震力に耐えるためには、柱・土台や梁などの構造体が十分な強度を持つ必要があります。構造材の質、接合部の強度、そして全体の構造設計が重要です。

  2. 柔軟性と延性

     建物は硬すぎず、柔らかすぎず、適度な柔軟性を持つことが求められます。柔軟性があれば、地震のエネルギーを吸収し、形を変えながらも元に戻ることができます。延性とは、材料が破壊する前にどれだけ変形できるかを示す性質です。

  3. 重量と耐力壁の配分

     建物の重量とその配分も耐震性に影響を与えます。重すぎる建物は大きな力がかかり、軽すぎる建物は揺れやすくなります。特に、上層部が重いと不安定になるため、重心の低さが重要です。地震力に抵抗する壁のことを耐力壁といい、筋違いや構造用合板で構成されています。その耐力壁はバランスよく均等に設置されていることが重要です。

 

耐震設計の方法

  1. 耐震基準の適用

     日本では、新築建物に対する厳しい耐震基準が設けられています。この基準に従って設計・建設された建物は、一定の地震まで耐えることができると認定されます。

  2. 耐震補強

     既存の建物、特に古い建物に対しては、耐震補強が必要な場合があります。これには、柱や梁の補強、壁の追加、基礎の強化などが含まれます。

  3. 制震・免震技術

     制震技術は、建物内に装置を設置して地震のエネルギーを制御し、建物の揺れを抑える方法です。一方、免震技術は、建物と地盤の間に装置を設置して、地震のエネルギーが直接建物に伝わるのを避ける技術です。

 

耐震診断と改修

  1. 耐震診断

     建物の耐震性を評価するためには、専門家による耐震診断が必要です。診断では、建物の構造、材料、設計などが詳細に調査され、どの程度地震に耐えることができるかが評価されます。評価方法は、国が定めた方法によります。

  2. 耐震改修

     診断の結果、耐震性が不十分であると判断された場合には、耐震改修が推奨されます。改修の程度は、建物の状況や予算により異なりますが、安全を確保するためには必要な措置です。特に築が古い場合には、耐震改修が必要となります。

 

年代別に異なる耐震性

 耐震性は、大きな地震がくるたびに法律が改正され年代により、耐震性(強度)が違います。ですので、年代により強さを判断することができます。日本において、建物の耐震性は過去に発生した大規模な地震の経験に基づいて法律が改正され、それによって建築基準法の規定も変更されてきました。以下に、主要な法改正が行われた年代ごとの耐震基準の変遷と、それに基づく建物の耐震性の目安を示します。

 

  1. 1950年耐震基準(旧耐震基準)

導入背景: 1948年の福井地震を受けて、1950年に初の耐震基準が建築基準法に導入されました。

特徴: 建物が地震によって倒壊しないことを目的としていますが、現代の基準と比べると強度は低めです。

判断基準: 1981年以前に建築された建物は、この基準またはそれ以下の基準で建設されている可能性が高いです。

 

2. 1981年耐震基準(新耐震基準)

導入背景: 1978年の宮城県沖地震を受けて、建築基準法が改正され、1981年から新しい耐震基準が適用されました。

特徴: 建物が地震で大きく損傷しないようにするための基準が導入され、以前の基準よりも耐震性が向上しました。

判断基準: 1981年から2000年までの間に建築された建物は、この基準で建設されています。

 

3. 2000年の改正(現行耐震基準)

導入背景: 1995年の阪神・淡路大震災を受けて、建築基準法が再度改正され、より厳しい耐震基準が2000年から導入されました。

特徴: 建物が大規模な地震にも耐えられるよう、さらに厳格な耐震設計が求められるようになりました。

判断基準: 2000年以降に建築された建物は、この最新の基準に従って建設されているため、比較的高い耐震性を持っています。

 

判断のポイント

 購入の際の判断基準として、建築年度を確認し、どの耐震基準が適用されているかを把握することが重要です。そして、 特に旧耐震基準の建物では、耐震診断を行い、必要に応じて耐震補強工事を行うことが推奨されます。 過去の大地震の教訓から新しい技術が開発されており、建物の耐震性向上に役立てることが可能です。耐震性は単に「強いか弱いか」という問題だけではなく、どのようにして地震のエネルギーをうまく管理し、建物とその居住者を保護するかに関連します。地震国日本において、耐震性の高い建物を選ぶことは、安全で安心な生活を送る上で非常に重要です。

 

まとめ

 以上のように、構造上の問題がある物件を購入する場合は、専門家による建築診断を受けることが必須です。建築士や構造の専門家による詳細な調査を行い、修理や補強の必要性と費用を見積もることが重要です。このようなリスクを事前に把握し、適切な対応を計画することで、安全で快適な住まいを確保することができます。

 

 

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