見積書は、契約する上で非常に重要なもの
相談内容
工務店から見積書が出てきたのですが、表紙だけで、明細書がほとんどありません。これで、契約して欲しいと言うのですが、問題無いのでしょうか?
回 答
住宅メーカーとか、売り立てを専門にしている会社は、申請図と仕様書を添付して、見積書は1式の表現が多いようです。これで、内容が十分に理解できて、追加変更も無く、うまくできたら問題無いのですが、これが、完全なオーダーメイドの注文建築であれば、よくトラブルが発生します。
どのようなトラブルが発生するのかと言えば、
- 打ち合わせで見積もりに入っていると思っていたものが、思い違いで別途であった。
- できあがっていくのを見ると、思っているものと違うものができていた。
- 追加変更を言うと、かなり高い追加見積が上がってくるが、それも適正かどうか解らない。
- 見積の仕様がさっぱり解らず、注文したものが入っているかどうかの確認ができない。
- 途中で減額したはずであるが、減額の内容は最初から入っていると言われる。
など、多くのトラブルが発生します。それでは、どのような見積書が良い見積書と言えるのでしょうか。
工事項目別に工事内容が明確であること
建築工事の見積書は、大項目と中項目、そして、詳細明細書と大きく3つに分けられます。大項目には、解体撤去工事、建築本体工事、設備工事、外構工事 のようにそれぞれ、全く種類の異なる工事に分類されます。住宅メーカーとか、売り立てを専門にしている会社は、これだけの項目に1式で金額を入れて、契約というところもあります。
建築本体工事の中には、中項目として、基礎工事、木工事、左官工事、タイル工事、防水工事・・・・、設備工事には、電気設備工事、給排水設備工事、空調設備工事・・・などのようにさらに細かく工事が分けられます。これらの工事に1式と金額を入れただけの見積書もありますが、これは、計画段階での概算見積であれば、問題ありません。
詳細明細書には、数量、単価が適切に入っていることが必要
さらに詳細明細書として、例えば、左官工事であれば、基礎モルタル塗り、外壁モルタル塗り、というのように図面に記載がある通りに項目を拾い出していきます。その項目に対して、基礎モルタル塗りの面積は何㎡か、外壁のモルタル塗りが何㎡かということになります。その面積数量に単価を入れて、掛けて合計していったものが最終見積金額となります。
このような見積書ならば、内容が非常によく解り、注文した内容に落ちがないか、高すぎないか、数量に計算間違いがないか、など一目瞭然に解ります。また、追加変更した場合でも、この内容が基本となっているので、おかしいとかいうことがなくなります。
このようなきちんとした適正な見積書を提示する工務店は良い工務店と言えます。また、見積書の内容でその工務店の技術力を見ることができます。
みつ図面もろくになくて、ただ、「うちは他よりも絶対に安い。」といって、1式の安い金額を入れた見積書しか出さず、契約をせまるような工務店は、後で、間違いなくトラブルになりますので、注意が必要です。
見積書は、信頼のおける建築士に見てもらいましょう。
しっかりした見積書が出てきたけれど、内容が適正かどうか解らないというのであれば、信頼のおける建築士に見てもらうのが良いと思います。単価の高い、安いといのは、相場がありますので、一般的なものであれば、査定することは可能です。
詳しい見積書の見方、査定の仕方は、「見積書の査定のしかた」 でご確認下さい。