住まいづくりの基礎知識

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  断熱と結露
 

 快適な家づくりの条件のひとつとして、外部の暑さ、寒さを通さず、人に適切な生活環境をつくることです。この暑さ、寒さを通さないようにすることを断熱と呼び、これらを通さないような屋根・壁・床をつくることが必要です。
 最近では、ガラス繊維、ロックウール、発泡スチロールのような断熱性が良く、安価な材料が開発され、サッシュ、ガラスなどにも断熱のさまざまな工夫がされています。しかし、材料、工法が豊富なだけに間違ったやりかたをしてしまうと、何の意味もなさず、トラブルの原因になりますので、正しい考え方、工法が必要です。それを考えてみたいと思います。



断熱の必要性

 断熱は、熱の流れを抑制し、結露を防ぎ、冷暖房の効果を高めるます。熱は高い方から低い方へ流れて、同一の温度になろうとします。
 断熱処理をしていない住宅から逃げる熱の割合は、畳敷きの部屋で、天井25%・壁65%・床5%といわれ、また床がフローリング張りの部屋では、天井3%・壁65%・床22%といわれています。また壁から逃げる熱の50%以上が、窓や出入ロから逃げてゆくと言われています。これらの熱の放出を少しでも減らすことができるようにします。
断熱性を良くすると快適な住まいをつることができます。


1.快適性の向上
 室内を暖房すると室内には、空気の対流が起こります。壁に沿って、空気が上から下へ流れるときに、壁の断熱が悪いと空気が冷やされるので、床近くの温度が下がり、足元が非常に冷たく感じられます。ところが、壁に断熱材を入れると、壁の温度が下がりにくく、空気が対流しますので、部屋全体の温度が平均化するので、快適に感じられます。
 また、断熱材がなくて壁や床の表面温度が低ければ、底冷えを感じるのですが、断熱することにより、体感温度が高まり、快適性が向上します。

2.結露防止
 結露とは
 よく、寒い日に、窓ガラスに面するカーテンや外壁や外壁を背にした押入で、布団をぬらしたり、また湿気を好む黴が壁面や天井に発生したりします。また冷房用配管や水道管も被覆が充分でないと、配管の表面に水滴が発生して、しばしば雨滴りや漏水とまちがわれることになります。これを結露と言い、カビやダニの発生の原因となり、健康にもよくありません。

 結露の原因
 空気中には水蒸気が含まれており、その含まれている割合を(相対)湿度と呼んでいます。空気中に存在できる水蒸気の量は、気温が高くなるにつれて多くなります。たとえば、気温20度で相対湿度80%の室内の空気が密閉状態で、気温10度まで冷却されると、相対湿度は100%を越え、余分の水蒸気は、冷たい壁やガラスに付着して水滴になります。
 冬になると、室内を密閉して暖房するので、室内の温度は外気に比べて高くなり、さらに炊事や燃焼暖房のために、大量の水蒸気が発生します。暖められた空気は、冷えた壁やガラスなど、透水性の小さいものに触れると、部分的に冷却されて、水蒸気は飽和蒸気圧100%を越えて結露水となり、やがて壁を伝わって流れ落ちることになります。

 結露の防止
 それでは、この結露を防ぐためには、どうすればよいのでしょう。外気に面した壁や天井・床が熱を伝えにくくし、室内側の壁などの表面温度を下げないことです。すなわち、しっかりとした断熱工法を施すことです。
 また、暖房や炊事によって生じた大量の水蒸気をすみやかに室外に放出させることも大事ですので、換気もおろそかにしてはいけません。

3.冷暖房費の節約
 断熱材を入れると、建物から逃げたり、入ってきたりする熱量が少なくなりますので、それだけ冷暖房費は安くなります。ざっとしたところですが、厚さ50mmの断熱材を建物をすっぽりと囲むと冷暖房に必要なガス、電気代は、断熱材を使用していない場合に比べ、半分くらいになると言われています。


断熱の方法

 断熱法としては、柱などの構造部材の外側にグラスウールなどの断熱材をすっぽりと囲い、断熱材と外装材の間に通気層を設ける外断熱工法と外壁の間に断熱材(グラスウール)を入れる内断熱工法の2種類があります。

1.外断熱工法の特徴

  • 冬期は、躯体の外側に断熱材があるので、夜間の寒気による冷却を防止する。
  • 夏期は、太陽熱による躯体の温度上昇を防ぐ。
  • 空気層の上部と下部に通気孔を設け煙突効果の通気により断熱材の乾燥され、断熱効果が低減するのを防ぐ
  • 冷暖房時のランニングコストが低減する。
  • 断熱材は、躯体の外側にあるため、躯体そのものは、外気からの影響(温度変化)が受けにくくなり、躯体を守るため、高い耐久性を発揮する。
  • 断熱材の施工がしやすい。
  • 木造であると構造材を構成する木材が室内側にあるので、木材の調湿効果を得やすくなる。
  • 内断熱工法に比べ、通気層を設けたりして外壁をふかし、発砲スチロールや発砲ウレタンボードを使用するので、材料費、工法がアップする。
  • 柱の外側にある程度の厚みのある断熱材を使用するため釘が長くなりその上に仕上げる外装材が重量などの制限を受ける。


2.内断熱工法の特徴

  • 壁の間にグラスウールを挿入するので、壁の厚み分だけ厚いグラスウールを使用することが可能である。
  • 断熱材として繊維系のグラスウールを使用するので、変形壁に対応しやすい。
  • 材料代などのコストが安い。
内断熱工法 外断熱工法


3.開口部の断熱
 壁から逃げる熱の50%以上は窓や出入口など、特にガラスを通して逃げるといわれます。そこで、寒さの厳しい地方では二重サッシュとか、二重ガラスにして気密性をアップさせたいものです。また雨戸を取りつけたり、厚手のカーテンを吊ると効果があります。


換気について

 しかしながら、このように断熱をしっかりとして、気密性もアップさせると、熱や空気の出入りを制限することになるので、屋内の空気がだんだんと汚染されてしまいます。そこで、換気が必要な事を認識して下さい。手を窓を開け閉めするのもひとつの方法ですが、頻繁にするというのも手間がかかる事で、けっして快適な住宅とは言えません。そこで、熱の放出を最小限にくいとめて、なおかつ上手く計画的に換気することが必要になってきます。建物全体を断熱化・気密化して計画的な換気をすることにより、建物を大きな部屋と考えることができるのです。

1.計画換気
 現代では、建材・家具などの接着剤からでるホルムアルデヒドなどの化学物質、コンクリートからのラドンなどの放射性物質、結露が原因のカビ・ダニなど人体に有害な物質が多々存在しています。特に、高気密・高断熱住宅では、これらの物質が充満しやすくできているので、特に計画的な換気が必要となります。
 計画換気とは、空気の出入り口を明確にして、24時間、必要な新鮮な空気を取り入れ、汚染された空気を排出することです。これは、機械的にも行いますし、自然換気も採用します。

2.全室暖房
 使う部屋だけを必要な時にだけ暖めるという方法は、同じ建物内では温度差をつくることになり、それが、結露の原因となり、カビやダニの発生につながり健康をそこなう可能性もでてきます。そこで、快適で健康な住まいをつくるには、温度差の生じない全室暖房を考えるのがよいのです。
 全室暖房と考えると使っていない部屋のことを考えるとずい分と無駄なように思われますが、高断熱・高気密住宅では、さほどエネルギーも無駄にならない事が解ります。


 このように、高気密・高断熱住宅というのは、建物内が大きな温度差がなくなるので、夏でも冬でも活動的な家となります。大きな空間をもつことも可能になりますし、オープンな空間というのは、家族のふれ合いも多くなります。しかしながら、反面、気密にしてしまうと、建物内の物音が響くようになり、2階のトイレで用を足しているような音まで聞こえてしまうことになりますので、こういったデメリットも知っておいて下さい。


 

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