将来のライフスタイルによりどんな家が欲しいかが決まれば、実際にどんな間取り、どんな部屋をつくるのかというプランニングに移ります。家族会議で、最初は、ある程度のプランづくりをやってみましょう。そして、ある程度のプランができあがれば、そこから設計士が実際に建てられるように試行錯誤して、図面化してゆきます。ここで、プランニングの仕方、実際の各部屋の設計の仕方を説明します。
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平面計画(ゾーニング)について
まずは、ライフスタイルに応じて、どんな部屋が欲しいのかを書きます。家族の人、それぞれが生活パターンが違いますし、趣味嗜好も違いますので、全員が集まって、将来はどうなってゆくのか、どうしたいのかを考え、希望・アイデアなどいろいろと出し合ってください。
例えば、玄関は、吹抜けの広いのが良い。御主人は、本を読んだり、物を書いたりするのが好きだから、寝室の横に書斎が欲しい、主婦ならば、キッチンは、できる限り広く家事室を勝手口とをつなげて欲しい。洋服が多々あるので、大きなクローゼットが寝室の横に欲しい。子供は、今は小さいけれど、将来は、別々の部屋が欲しい、便所は、1階と2階と2ヶ所欲しい、などなど・・・あげてゆけば次々と出てくると思います。
そして、土地の形を把握するために敷地を描いてみます。道路と敷地の関係、隣家との関係をはっきりとさせます。そして、建物の位置、車庫の位置などを定めます。隣の家の窓の位置とかもチェックしておきます。隣家の窓とこちらの窓の位置が同じではいけません。車庫は、道路から入れやすい位置にもってきます。交差点から出入りするような車庫ではいけません。そして、建物には、どんな部屋がどんな位置に欲しいのかを描いてゆきます。このように家の間取りをおおまかに配置することをゾーニングといいます。
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ゾーニングのしかた |
部屋の配置の仕方
一般的に道路から最も安全にスムーズに入れる位置に玄関を配置します。家族の団欒を中心に考える場合は、食堂・居間を1階の中心にもってきます。そして、滞在時間も長いことですので、やはり日照条件の良い南側で庭に面するようにし、庭には、自由に出入りできるようにすれば良いと思います。それに隣接して、キッチン・家事室等を配置し、洗面所・便所・浴室などの水まわりを一まとめにして、北側に配置すれば良いでしょう。また、2階には、寝室・子供室など配置して、日照条件などから、南面に大きな窓を付ければ良いと思います。
これは、一般的なことで、人それぞれ、ライフスタイルが違うので、それに応じて、プランを考えれば良いと思います。寝室を1階に持ってきても良いし、2階に居間を配置しても良いのです。
また、5年後・10年後、子供の大きくなってゆくと、それぞれ自分の部屋が欲しくなります。年を重ねてゆくとバリアーフリーの事も考えて、プランニングする必要があるかと思います。
各部屋の設計のポイント
玄関
玄関は、住まいの顔であり、単に履物を替えるだけのものではなく、お客さまに対しても、明るく・親しみやすく・美しくそして、個性的であって欲しいものです。
位置としては、道路からのアプローチを考えて、最も入りやすくその家のメインとして位置づけたいものです。広さとしては、家全体のバランスをとることが必要ですが、一般的に畳2帖分くらいまでで良いと思います。
玄関の建具は、内開きですと土間が狭くなりますし、雨仕舞いの関係上、外開きとします。和風の場合ですと、引き違いが多いのですが、防犯上開きの方が良いと思われます。錠前は、少なくとも2ヶ所はつけておきたいものです。
土間の材料は、水洗いをしますので、タイル貼か高級感を持たすならば、石貼が良いと思います。土間に排水口もとっておきます。
また、履物入れ・コート掛・傘立て・スリッパ入れなどの設備も整える必要があります。
小住宅においては、できる限り、廊下の面積を少なくする必要があります。しかし、部屋数もそこそこあり個室のプライバシーを考えたときには、部屋と部屋とを結びつける廊下は、どうしても必要なものとなってきます。
廊下
廊下の幅は、人が通るには90cmもあれば十分ですが、長い廊下の場合には、1mから1m20cmくらいは欲しいものです。
床の材料は、玄関ホールも含めて、すべることなく耐久性があり、掃除がしやすく清潔なものがよく、フローリングなどがよく使われます。壁の材料は、手垢とか物があたっても大丈夫なもので、クロス・板・左官塗り・吹き付けなどがよく使われます。
壁際には、造り付け家具として、コート入れ・掃除用具入れ・物入れなどの収納家具を付ければ使い勝手が良いと思います。
階段 階段は、2階建ての場合どこに位置させるかというのは、非常に重要な事です。2階に子供室を設ける場合ですと、子供と必ず顔を合わせるようにするためには、居間の中に取り付ければ良いのですが、訪問者のことを考えると玄関に近い方が良いでしょう。
階段の形状としては、下記のような種類があります。
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直進階段 |
折曲り階段 |
折り返し階段 |
ねじ上がり階段 |
螺旋階段 |
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居間 居間は、家族の団欒の場ということから、家の中心として考えるものです。来客がある場合は、応接室として使われる場合もあります。位置としては、日照条件が良く、また、庭とのつながりを考えて南側が最適です。広さは、10帖が最低で、12帖くらいは欲しいところです。
家具として、テーブル・ソファー・椅子・飾り棚・テレビ・ステレオなどが置かれると思いますので、そのレイアウトも考えておきましょう。
床の材料としては、家族全員が集まるところであり、寝転ぶことも考えられますので、傷のつきにくいフローリングの上に置絨毯などが良いでしょう。
天井は、他の部屋よりも高くとり、照明も落ち着いたものとします。照明器具は、天井灯・シーリングライト・ダウンライト・ブラケットなど好み・雰囲気に応じて選択しましょう。そして、明るさを調整するライトコントロールなど考えてみると良いです。
応接室
応接室は、来客を接待するための部屋で小規模の家では、設けるものではありません。親しい人を招くときには、居間・食堂を兼用にする場合が多いです。
来客のもてなしが目的なので、玄関に近くて、家の内部が見通せないようにします。使用頻度が小さい部屋ですので、日照とか見晴らしなどは、二の次とします。
応接室は、椅子式で考えるのが一般的ですので、大きさとしては、その家具の大きさを基準にして考えます。
床の材料は、椅子の引きずることにもなりますので、やはり、硬いフローリングが良いでしょう。お客さんの部屋ですので、品のある落ち着いたインテリアになるように考えます。
寝室
寝室には、落ち着いた静けさ、プライバシーの確保が求められます。配置は、騒音の関係上、道路側への計画は避け、採光条件の良い南側が良いでしょう。4面の壁のうち、1面を主出入り口にもう1面を収納等の壁として、あとの2面を外部に面するようにします。また、壁1枚隔てて、子供室・老人室などと面することのないようにすると、独立した良い部屋となります。
洋室の場合ですと、ベットが主役となりますので、どんなベットを置くのか、寸法など調べておく必要があります。ベットを壁際に置くとベットメイキングができなくなりますので、2方向は空けるようにします。
また、寝室に付随して必要なのは、収納設備です。隣に専用のフローゼットを設けるのか、室内に収納棚をつけるのかを検討しましょう。
寝室の照明は、天井灯・ダウンライト・ブラケットなどを組み合わせてます。間接照明やダウンライトにすれば、天井灯を消して、枕元のライトコントロールで明るさを調整できますので、ムードも出せます。ベットと入り口脇の両方から点滅できるように三路配線にすると便利です。
床の材料は、フローリングか絨毯ですが、絨毯は、落ち着いて良いのですが、汚れたりしたときの清掃が大変ですので、フローリングの方がお勧めです。壁・天井は、布クロスが良いでしょう。
子供室
子供は、成長するのが早くそれに対応できるようにしなければなりません。小さければ、ざこ寝で良かったものの、大きくなってゆく男女ですと将来、部屋は、分離させる必要もあります。思春期になるとプライバシーが必要になってくるし、いずれは、独立して親元を離れてゆきます。将来、どうなってゆくのか、その見通しを立てた上で計画しましょう。
子供室の配置を考えるのに、玄関から家族と顔を合わすことなくいきなり部屋につながるような配置では、どうかと思われます。居間・食堂などを通過して子供を顔を見れるような動線計画も考える必要があります。
子供室は、子供の生活の中心となる場所です。ただ寝るだけではなく、「学び」「遊ぶ」で、一日のうち最も滞在時間が長い場所でもあります。そこで、南側の日照条件・通風条件の良い場所に配置すべきです。
広さは、少なくとも6帖は欲しいところです。低学年の子供なら、大きな部屋を2,3人用として空間を広くとり、遊びのスペースにゆとりを持たせて、将来間仕切りを設けるのも良い方法と言えます。
また、子供室の壁には、いろいろなものが貼られることが多く、押しピンなどが使用可能なように下地は、合板を使用すると良いでしょう。また、床・壁とも痛むことも多いので、張り替えが容易にできるビニールクロスなどが良いと思います。
和室
和室は、洋室と違って、固定的な家具なども置くことなく自由に使用できる部屋です。どこでも、自由に寝転がり、座ることができ、布団を敷くと寝室に、座卓を置くと食事室にもなります。
床の間、床脇、そして南側に広縁などを設けると座敷としての風格が出て、さしこむ光のやわらかさなども期待できます。
和室は、好みに合わせて、色々とデザインできます。床の間、長押などを取り付けると、重厚な格式高いものになります。
畳は、保温・断熱・遮音・クッション・清潔さなどの点から絨毯やフローリングに勝るものがあります。和室の壁には、のり土と言って、土とのり土を原料にした壁材がよく使用されます。最近では、のり土とよく似た化学壁や樹脂系の吹付け材、和風のビニールクロスなどがありますが、本来ののり土には、風格に欠けます。
和室には、建具にも独特なものがあります。障子を通して差し込むやわらかい光・襖などは、日本独特の落ち着き、空間の広がりなどを感じさせてくれます。
食堂
日本の食生活は、バラエティに富んでおり、非常に豊かなので台所用品も数多くなり、煩雑です。そこで、台所が見えないようにしたいものです。しかし、主婦の動線を考えると、できる限り近いのが望ましいので、隣接してカウンターなどで結びつけるようにするのが良いと思います。カウンターの下と上には、地袋と天袋を設けて、食器など収納できるようにすれば、納まりがよいでしょう。
気持ちよく食事をとるためにも、部屋は、明るく、清潔に、通風、日照条件も良くするのが理想です。少なくとも壁の一面は、掃き出しの窓を設け、南側に配置するのが良いと思います。
床の材料は、フローリングかコルクタイルのように、こぼしても拭けるもの、椅子の脚で引きずっても傷の付きにくいものが良いです。また、食器棚などおけるスペースを設ける事も忘れないようにしましょう。
キッチン
主婦にとっては、一日のうち最も滞在時間の長いところであり、その使いやすさが大きなポイントとなります。
台所の型式は、部屋の形、使い勝手から、オープンタイプ・クローズドタイプ・セミオープンタイプに分けられます。
オープンタイプはダイニングキッチンで、いわば台所に食卓を置いたもので、主婦の作業動線は短く機能的です。ただ台所がそのまま見えますから、常に美しく保持し、においのこもらないよう注意しなければなりません。
クローズドタイプは台所が独立しているもので、器具の配列によって一列型・並列型・L字型・U字型とあります。台所が独立しますと、隣接した食堂は居間と同じように美しく保てます。
セミオープンタイプは、アイランド型などに見られるような中間型です。カウンターをつけ、その前面に立ち上がりの仕切り壁などを設け、上部空間は下り壁・天袋などで仕切るタイプです。朝食などはカウンターで、正式食卓は別に置きます。
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