住まいづくりの基礎知識

 INDEX

●はじめに
●住まいづくりの第一歩
●基本的な考え方
●費用のチェック
●建物と費用の関係
●資金の調達
●土地の準備
●どこに頼むのか
●建築士の仕事と報酬
●建築の法律
●間取りと部屋の計画
●図面の見方
●見積書の見方
●施工会社の選び方
●工事契約の仕方
●建築の式典
●工事が始まってから
●引渡し
●地震に強い家
●バリアフリー住宅
●シックハウス症候群
●家相について
●3階建住宅
●二世帯住宅
●木材の知識
●外観のデザインと材料
●内装の材料
●断熱と結露
●住宅の品質保証
●万一のトラブルの時に
●電気設備について
●水まわりの設備
●空調設備について
●エクステリアについて
 
 
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  外観のデザインと材料
 

 タイル貼でどっしりとした重厚な家、昔ながらの伝統を大切にした落ち着いた和風の家、地中海を思わすような純白のモダンな家。家は、さまざまな外観を持っており、人間と同じようにそれぞれ個性を持っていて、その家に住む人の人柄をも表現する重要な要素とも言えます。
 市街地に家を建てる場合、北側斜線制限とか隣地斜線制限などのある程度の法規制は受けますが、その範囲内では、自由に外観をデザインすることができます。また、家の外観というのは、町並み形成の上でも重要なポイントともなってきます。個性を生かしつつも周囲の環境の向上するよう配慮すべきです。



屋根について

 外観のデザインは屋根で決まるといわれるくらい屋根のデザインは、重要なものです。同じ平面であっても屋根の形や材料の違いで雰囲気が全く変わってしまいます。屋根と外壁、エクステリアなどがトータルにデザインされてこそ、美しい外観と言えます。屋根は、その土地の気候、風土、環境などをもとに、耐久・耐侯・強度にすぐれ、美観的にも建物と調和した形、材料など決めるべきです

屋根の形
 家の形を決める要素として屋根の形は、最も印象が強いものです。屋根の形状は、下図に見るようにいろいろとあります。


切妻 寄棟 入母屋 半切妻
腰折れ しころ 腰屋根 片流れ
屋根の形状

屋根の材料
 屋根葺き材は大別すると、粘土焼成品系・金属板系・石板系・セメント系・化学製品系・植物系となり、いろいろ組み合わせて使われることがあります。

 屋根の材料
粘土焼成系  粘土焼成品系は、粘土瓦がおもなもので、和瓦と洋瓦に区別されます。和瓦は本葺き瓦と桟瓦に大別され、一般には桟瓦の使用が多く、表面仕上げは燻し・塩焼き・釉薬がけなどがあります。瓦は、耐火、遮音性、耐侯性、断熱性に優れ種類も和瓦をはじめ洋瓦など色彩も豊富です。
金属系  金属板系は、亜鉛メッキ鉄板・カラー鉄板・銅板・アルミ板・ステンレス板、ガルバニウム板などがあり、葺き方は平板葺き・瓦棒葺きが多く、ほかに波板や折板葺きがあります。荷重が軽いので、軽快なデザインになりますが、不燃性、加工性、耐熱性に優れていますが、遮音性、断熱性、結露に問題があります。
石板系  石板系は、天然スレートを加工して葺くものと、石を本瓦や桟瓦の型に加工して葺くもので。天然スレートは産出量が限られていますが、一部には使用されています。瓦と同じように、耐火、遮音性、耐侯性、断熱性に優れていますが、吸水性があります。
石綿セメント系  石綿セメント系は、セメント瓦葺き・厚形スレート葺き・石綿スレート葦きなどがあり、ガラス系では平板や波板のガラスを用います。 化学製品系は、塩化ビニール板葺き・ポリエステル板葺き・アスファルトシングル葺きなどがあります。
 石綿セメントは、重量は、瓦の3分の1程度で軽く、施工性もよく色彩形状も豊富なので最近は、瓦に代わり、かなり普及しています。

屋根の勾配
 屋根の勾配を決める要件は、地域的な気象条件、建物の規模、屋根葺き材料・外観です。雨の多い地方では、勾配を急にし、少ない地方では、緩くします。規模については、梁間の大きい建物ほど軒先の雨水流量が増すから、勾配を急にする必要があります。材料からみると、瓦などの粘土加工品は、重ね部分が浅い場合には、急にします。天然スレート系などの石板は、吸水性があるので急勾配にします。鉄板や銅板などの金属系は、重ねが十分にとれるので、緩勾配でも大丈夫です。


外壁について

外壁は、屋根と同様にそのデザインにより、印象は大きく変わります。外壁は、屋根と違い、遠くから見る美しさと近くから見る美しさの両方を兼ね備える必要があります。また、雨、風、寒さ、暑さなどの自然現象の他、騒音、振動、衝撃、火災、防犯など外界からの過酷な条件から住まいを守るよう計画しなければなりません。外壁を決める材料について説明します

●タイル
◆タイルの材質と種類
 タイルの原料は、粘土・陶石・長石などです。吸水率により磁器質(じきしつ)・b器質(せっきしつ)・陶器質(とうきしつ)に分けられ、磁器・b器・陶器の順に吸水率が大きくなります。吸水率の大きいタイルほど、モルタルの水分を吸収し、モルタルへの接着力を減少させるため、陶器質のタイルは、外装には適していません。

◆タイルの張り方
 
タイルの種類や大きさなどからいろいろな張り方があります。それぞれを図に示します。

馬踏み張り 通し目地 たて芋目地 たて馬目地 たて張千鳥目地
やはず張り イギリス張り フランス張り アメリカ張り アメリカ張り
タイルの張り方


サイディング

 サイディングとは外壁に貼る仕上げ用の板材のことで、最近になって、塗り壁に代わって多く使用されるようになりました。水やセメントを使用することなく施工するので現場を汚しにくく、工場で生産されたものを現場に合わせて貼り付けて行くので、仕上がりが、職人の腕に左右されにくく、工期も短縮でき、その分、安価で出来上がります。また、デザインや色調も豊富で、多々のメーカーから出されています。
 サイディングには、窯業系(セメント系)、金属系、木質系サイディングの3種類があります。

 サイディングの種類
窯業系
(セメント系)
モルタル塗りの外壁にかわって最もよく使われるようになったもので、けい酸カルシウム等を石綿などの繊維材料と 混ぜてセメントなどで固めて造られています。厚さも12ミリから24ミリ以上まであり、デザインもさまざまです。最近は彫の深い加工が可能になり本物の石れんが、タイルを思わせる仕上がりを実現します。
素材自体が水分を吸いやすいため、表面の塗料がはがれてくると、劣化するのが早いことが難点です。
金属系

デザイン性・耐久性に優れた表面材と、断熱性・防火性に優れた裏打材によって形成された乾式工法用の外壁材です。工場内で一貫した品質管理のもと生産され、均一で安全、軽量で取り付けが容易、塗装仕上げの必要のない外装建材です。
表面はアルミ合板や亜鉛メッキ鋼板、カラー鉄板からカラーGL鋼板などで断熱材が中に 入った構造になっています。 錆びにくく、耐久性が高く軽量ですから改修に適しています。
木質系 北米の住宅に古くから使用されてきました。材質は耐水性のあるレッドシダーやレッドウッドが用いられます。安価なものとしては、合板製、木材チッブを加圧成形したMDF材製、パーティクルボード製もあります。断熱性・防音性・耐久性に優れ、短期間(約2週間)の工事で完成し、経済的です。ただし、多湿と乾燥を繰り返すとクラック(ひび割れ)を発生することがあるので、重ね幅や塗装に工夫が必要です。



 石材は、耐久性が高く強度も大きく、色合いや仕上がりの光沢・手触りなどが非常に良く、内外の仕上げ材として、多々利用されています。内部では、玄関の床や敷居・腰・靴脱ぎ石・浴室まわり・洗面所・便所などの水周りに使われます。外部では、外壁まわり、階段・ポーチ・門廻り・塀などに使われます。

◆石の張り方
 
石の種類や大きさ、表面の加工の仕方などからいろいろな張り方があります。それぞれを図に示します。

谷切り 平切り 二面切り
こぶ出し 亀甲切り 江戸切り
石の張り方


塗装
 塗装には、大きく2つの目的があります。1つは、建物の美観を良くする事。2つ目は、建物を腐食や錆などからの劣化を防ぐことです。色調がうまくコーディネイトされた建物は、快適で落ち着きを感じさせてくれます。現代においては、多くのメーカーより塗料が開発されています。部署ごとに適切な塗料を選定する必要があります。

◆塗料の分類
塗料は、塗装を施す部位により一般的に3つに分類されます。

 塗料
木部用塗料  木材を汚染から守り、木材の乾湿による狂いを防止し、表面の美粧をよくする目的で、ワニス・ラッカー・合成樹脂塗料・油性ペイントなどが使用される。なかでも、透明仕上げは天然の木目の美しさ、素材の個性を引き上げる。
金属用塗料
(鉄・アルミ・亜鉛メッキ鋼板・)
 腐食から金属を守り、色彩や光沢を与えて素材の肌を整える目的で油性ペイント・合成樹脂調合ペイントなどが使用される。
壁塗装用塗料  コンクリート・モルタル・プラスターなどは表面が粗雑で美観度が劣るので、塗装による美装と汚染を防ぐために使用される。外壁面には吹付けタイルやリシンなどの吹付けが使用される。

◆塗料の種類
塗料は、多くの種類があるのでその各々の仕様についてまとめてみます。

 塗装仕様
塩化ビニール系樹脂系
(VE)
耐薬品性・耐水性に優れているので、モルタル・コンクリート・スレート面などに使用される。
合成樹脂系エマルジョン
(AEP)
水で希釈でき、常温で感想する。塗膜は耐アルカリ性があり、通気性もあるので、塗装後の被塗装物の乾燥を阻害しないなどの特長がある。モルタル・コンクリート・スレート面などに使用される。
合成樹脂調合ペイント
(SOP)
耐久性・耐候性に優れているので、鉄部・木部などに使用される。
複層模様吹付材 下塗り・中塗り・上塗りの3工程を要し、中塗りで凹凸模様を出し、上塗りで光沢と色彩調節をする。仕上げ方でいろいろな色彩、パターンができ最も普及されている。
合成樹脂エマルジョン砂壁状吹付材 セメント系リシンと樹脂系リシンとがある。これに骨材を入れた既調合タイプと現場で骨材を混入するタイプがある。安価で美しく仕上がるため多く使用されている。

 ※ ( )は、略記号

このように塗料には、無数に種類、色、パターンがあり、塗装により、家の雰囲気ががらっと変わることになりますので、決定するときには、必ず、見本を作製して慎重に決める必要があります。

塗壁(左官壁)

 左官仕上げは、現場に合わせてどんな形の施工にでも容易に施工でき、防火や耐火・防水・吸音・遮音・断熱などにある程度、効果があります。また、水を使用することから、現場が汚れやすく職人の腕により出来上がりが左右されやすく、調合、乾燥期間などでクラックがいきやすく、工事期間が長くかかる欠点もあります。
 しかし、最近では、工期が早く、職人の腕に左右されない乾式工法(サイディング貼工法)に押されながらも、日本古来の伝統的な落ち着きがあることから、今でも多く使われています。

◆大壁と真壁
 よく住宅では、大壁作りの家とか真壁作りとかいいます。大壁とは、柱などの軸組の外側に壁の下地などをこしらえて、壁を仕上げます。
 真壁とは、柱の真に貫を通して木舞い下地を作り壁を塗ったもので、柱は、化粧で見える。

◆セメントモルタル塗り
 材料は、セメントと砂を使用し、仕上げ方として平滑な金鏝押さえと粗面の刷毛引き、掻き落しなどがあります。
 金鏝押さえは、主に室内仕上げとして仕上げるのですが、刷毛引き仕上げは、モルタルを塗った跡に表面のセメントノロを刷毛で洗い落とします。この上に、吹付けなどをして仕上げます。
 掻き落しは、櫛で半乾きのモルタル塗りの表面を掻いて、粗面にしたもので、寒水石などの種石入りの色モルタルを使用します。


スタイル別の外観

 外観のスタイルとして、アメリカやヨーロッパの様式を模したデザインのものがよく一戸建ての住宅で見られます。

 コロニアル式

 アメリカの典型的な住宅様式。全体の形態は比較的単純な形をした切妻の屋根を載せています。外壁は、白い下見板で覆われている。窓は、小ぶりでそれゆえ全体の幾何学的形態が強調されている。窓には、鎧戸がつけられ、それが外壁のアクセントになっています。

 ハーフテンバー式

 イギリスで15世紀から16世紀にかけて造られた。黒い木の骨組と白い壁のコントラストが強調され、骨組を木構造として、その間をレンガなどによる組構造やラス下地のプラスターで充填した混構造の建築様式。骨組の柱、梁、斜材などを完全に隠さず外壁に現して見せています。

 ジョージア式

 イギリスで生まれ、ルネサンス建築の影響を受けた単純でシンメトリーな構成でレンガを素材とする特徴があります。

 チューダー式

 アメリカのビバリーヒルズの高級住宅でよく見かける。外壁のハーフテンバー、鋭角の破風、漆喰、木石などの素材の併用を特徴とします。

 

提供:潟Aーキアシスト

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