住まいづくりの基礎知識

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  木材の知識
 

 日本の住宅は、昔から主として土と木で造られ、地震や台風、火災などに遭遇しながらも今日に至るまで代々その技術が受け継がれてきました。これは、元来、木材が日本の気候・風土に適していたからです。そして、木材を適材適所に工夫して使用することにより、50年・100年にも耐えうるものとなります。
 しかし、近年の住宅の大量生産により、国産の木材だけでは、膨大な需要を満たす事ができず、各種の南洋材などの外国産などが登場してきました。
 国産の中でもとりわけて、化粧柱、内法材、天井材などは、資源に限りがあり高価なものとされ、集成材として加工して利用される場合が多くなっています。しかしながら、集成材は、天然材の持つ欠点が加工技術によってカバーされているので、木造住宅に広く使用されています。 ここで木材について、その特徴など考えてみたいと思います。



木材の性質

長所
@軽くて強い
木材は、軽い割には強い材料です。例えば、鉄と杉と比較すると、引っ張りの力は、鉄は640kg/cm2で杉は、2500kg/cm2以上です。これからすると、同じ大きさであれば、杉は鉄の3倍の強さがあるということです。

A結露しにくい
木材は、保湿性があって冷えにくく、湿度調整ができるので結露しにくいのです。万一、結露があったにしても水分を吸収することもでます。

B調湿作用がある
木材は、高い湿度ではどんどんと湿気を吸い、低い湿度では、逆に湿気を放出します。適当に調湿してくれるので、室内の空気をいつも快適にしてくれます。

C熱・音を伝えにくい
木材は、空隙の多い細胞の集合体で、空気を多く含んでいるので熱を伝えにくくしています。また、同様に音をよく吸収するため、反射したり、浸透したりする性質も少ないのです。

D加工しやすい
木材は、金属や石に比べて加工しやすいです。切る・削る・釘をうつなど手軽にできるので、施工時の手間が少なくてすみその分、工期の短縮にもつながります。

E美しい
木は、細胞の組み合わせでできており、その断面は、様々な模様があります。特に年輪の天然模様は、他の材料に比べ温かみがあり、我々の心をなごませてくれます。

欠点
@耐火性能に劣る
木材は、燃えやすい材料と言えますが、柱・梁の断面寸法を大きくしたり、規定の不燃材などで被覆することにより、防火構造や準耐火構造にすることができます。

Aシロアリの虫害を受けやすく、腐りやすい
木材は、湿気ている所ですと、シロアリなどの虫害を受けやすいとされていますが、防腐・防蟻措置により防ぐこともできます。また、設計により、換気を良くして、湿気ない家をつくる必要があります。

B節・あて・割れなどがある。
木材の特性であり、工業製品と違って、個体差の大きいもので種々の欠点を持っている。用材の使用目的によっては、これらの欠点が許容できない場合があるので、十分な吟味が必要である。

C湿気により狂いやすい
木材は、乾燥すると収縮し、湿気を吸収すると膨張する性質がありますので、使用前に十分に乾燥させる必要があります。



材種と用途

 木材は、杉・檜・松などで代表される針葉樹と楢(なら)・欅(けやき)・塩路(しおじ)・栗などで代表される広葉樹に大きく分けられます。針葉樹は、比較的軟らかく木理も通直で挽き割りなどの加工性がよく、構造材・造作材として利用される。
 広葉樹は比重が重い分、堅い木が多く、加工も難しい。しかし、十分に乾燥させたものは、耐久性にすぐれ、表面の美しさなどから、造作材・建具・家具などに使用されます。
 日本では、広葉樹、針葉樹とも豊富な材種がそろっていて、一通りのものが地材でそろえることができます。
 しかし、最近では、65%が輸入に頼っており、ローコスト住宅では米栂、中級住宅では米松、米杉など利用されています。輸入材は大きく南洋材、北米材、北洋材、南米材、北欧材などに分けられます。
 住宅に使われる木材は、構造材、下地材、造作材に分けられます。

 構造材
 土台の敵材としては特に耐湿性、耐久性の大きい材が適して、檜、ヒバなどが最適で他に米栂、米松があげられるのですが、やや耐久性に劣るので、防腐剤注入を原則とします。
 柱については垂直方向に荷重がかかり、横力もかかるので、材は真っ直ぐで乾燥した芯持ち材が望ましく、檜・杉などが最適です。
 梁については、曲げやせん断が強く働くので、松の丸太、米松をよく使用します。丸太は、一方に反った材を選び、作業性から両側を太鼓に落とし、起り勝手に使用します。

 下地材
 下地材は、屋根下地・壁下地・床下地・天井下地などがあり、仕上材の下地に使用し、ねじれ、曲がり、収縮の少ない乾燥材が用いられます。
 屋根下地については、垂木では、檜、杉などの芯持ち材を、野地板では杉が最適です。最近では、合板がよく使用されます。
 壁下地については、内外壁に仕上板をラス下地板・胴縁・間柱などがあるが、合板やボードが多く、その他は、杉を使用します。
 床下地については、荷重に耐えること。1階については、湿気に強いことです。したがって檜・杉・米松などが適材です。

 造作材
 造作材は美的な観点が最重視されますが、外部ならばでは耐久性も要求され、檜・杉・米檜・米松・ヒバなどが適材です。内部造作では、意匠的要素が強くあり、多岐多様でこれといった決まりはありません。設計者・建築主の感性、好みによるものが大きいので、木をよく見て、肌で感じる事が大事です。


木材のグレード

 木造住宅のグレードを決める要素として、木材の質がいえます。材種と産地によっても単価が違ってくるのですが、一般的な等級には、針葉樹では「無節」「上下節」「小節」「特一等」「一等」「特上下節」「一等上下節」などがあります。また、材面数により、「三方無節」「二方上下節」などと表示されます。無節は、和室の柱、内法材に使われ最上級とされます。上下節は、産地によって、米粒大から小指大の節が一材面当たり数個まで許容され、特一等は上下節以上の大きさの節があるか数が多いもので、丸みがなく、見え隠れの柱などに用いられます。丸みのあるものは、一等と呼ばれ、材端が天井に隠れる柱や小屋束などに使用されます。特上下節は丸みのない上下節製品、一等上下節は丸みのある上下節製品です。
 吉野杉を筆頭に秋田杉、尾州杉などが第一ランクで、標準的な坪単価の住宅の3〜5倍程度します。外材である米松、米檜、台檜なで1.5〜2倍程度です。


集成材について

 集成材とは、挽板または小角材(ラミナ)の繊維方向を平行にして、長さ・幅・厚さ方向に集成し、接着したものです。また、これらの表面に化粧単板を接着した化粧貼り集成材もあります。集成材には、無垢材にない良さがあります。

  1. 加工により木材特有の節、割れ、目切れなどを除き、強度的に適切な材料断面を安定的につくりだせる。
  2. 木材は、反って曲がろうとする性格があるので、小さく切り刻んだものを方向を並び替え、元の形に接着しなしているので、狂い、歪みがなくなる。
  3. 安定した品質のものが量産が可能になる。
  4. 曲げ材などの特殊な形状のものが生産可能になる。
  5. 外観上、美しい材料の供給が可能になる。
  6. 無垢物に比べ、安価である。

 こういった、利点があるので、最近は、ほとんど集成材が使われるようになってきました。
 また、薄くスライスした木を接着剤で張り合わせて1枚の板にしたものをベニヤ、合板といいますが、それに薄い杉とかナラなどを貼った物を練り付け材、突き板といいますが、天井板とか建具の表面材に使用されます。
 しかし、これらの集成材や練り付け材は、メリットも多い反面、接着剤を多量に使用するため、ホルムアルデヒドなどの有害物質による空気汚染が問題になり、シックハウスの原因になっています。


 

提供:潟Aーキアシスト

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