住まいづくりの基礎知識

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  内装の材料
 

 室内のインテリアを考える時に、材料を何にするかというのは、非常に大切なことです。各部屋に応じて、それぞれの用途を考え、その部屋には、どの材料がふさわしいのかを十分に検討する必要があります。デザインだけを優先してはいけません。機能性とデザイン性(色彩)、快適性がうまく調和して、はじめて良い材料と言えます。その材料を選ぶポイントを説明したいと思います。


材料の選び方

 内装の材料を選ぶのに大切なポイントをあげてみますと、

  1. 安全なこと
  2. 丈夫なこと
  3. 汚れにくいこと・掃除しやすいこと
  4. デザイン性がよいこと
  5. 遮音性がよいこと
  6. 防火性能がよいこと
  7. 保温・断熱性があること
  8. 人体によいこと

などです。

1.安全な事
 例えば、浴室のように水が頻繁にかかるようなところに、すべりやすい材料を選んではいけません。また、水がかかるということで、くさりやすいものではだめです。すべりにくくて、水に強いものが、まず重要になってきます。

2.丈夫なこと
 床ですと常に足によって踏まれるというのを考えなければなりません。スリッパで歩いていて、砂のようなものでもかんだら、傷だらけになるようではいけません。また、少々の物を落としたくらいで、簡単にへこむようなものでもだめです。テーブルや椅子などをちょっと引きずっただけで、傷がついてはいけません。その部屋がどのくらい頻繁に人が出入りしたり使ったりするのかで、使用材料が決まってきます。

3.汚れにくいこと・掃除しやすいこと
 床でしたら、特に汚れに対する対策は必要となってきます。少々の汚れは、しかたがないにしても、掃除をすれば、すぐに美しくなる材料を選ばなければなりません。台所などで、醤油でもこぼした時に、しみ込んだままで、シミがとれないようでは困ります。
 壁でしたら、常に手垢がつきます。玄関・廊下などで手がふれる機会が多ければ、手垢などに強い材料が必要です。子供室ですと、落書きされても、楽に落とせたり、やり替えできるものが必要です。

4.デザイン性がよいこと
 視覚的にくつろげる色彩感覚が必要かと思います。長時間居る可能性が高い居室では、特に大切です。目をむくような奇抜なデザインが好きという人もいるかもしれません。しかし、長時間、その部屋にいるようなリビングや落ち着きの必要な寝室では、良いとは言えない場合が多いようです。疲れた心を癒し、明日への活力がみなぎってくるようなデザインが必要です。

5.遮音性がよいこと
 例えば、2階にいて、物を落としたとき、子供が暴れた時など、音がそのまま1階へ筒抜けというのは考えものです。ある程度、音を吸収し遮ってくれる材料を選ぶ必要があります。また、特にピアノとかオーディオが趣味の人もおられるでしょうが、まわり近所の事を考えると完全に音を遮断する必要があります。特に防音仕様の材料を使用する必要があります。

6.防火性能がよいこと
 火災が起こった時の事も考えなければなりません。燃えやすい材料を使っていたため、尊い命を失ってしまったという事も考えられます。また、隣家への延焼を防ぐ事もできます。木や紙などの燃えるものを使ってよいのですが、必ず、防炎処理をしてあるかどうか確認しましょう。

7.保温・断熱性があること
 できる事なら、断熱材だけに頼らず、仕上げ材にも断熱性能がある方がベターです。より効率の良い断熱ができ、結露を防ぐ事ができるばかりか、空調のランニングコストの削減にも貢献します。

8.人体によいこと
 最近の住宅は高気密化してなかなか自然換気がしにくい傾向があるので、仕上げ材とか接着剤に含まれている物質が人体に悪影響を及ぼす可能性があります。もとから、できる限り自然素材で体に優しいものを選ぶようにしましょう。

 以上が、内装材(仕上げ材)を選ぶポイントです。それでは、内装材には、どのような材料があり、どのような特徴があり、どのような場所に使用するのかを説明します。


インテリアの材料

1.木材
 インテリア材料としての木材は、自然の香りと独特の木目・色調・肌合いの美しさをもっていて、和室として、または、一般的なインテリアの床・壁・天井の造作材として用いられています。しかし、木材は、乾燥や収縮によって反ったり狂ったり、ひび割れたりするなどの欠点があるので、最近では、これらの欠点をなくすために、技術的に加工した合板類や集成材などの木質材料などが数多く開発されている。
 木材は、大きく分けて針葉樹広葉樹に分類されます。針葉樹には、杉、檜、松、栂などの国産材のほか、米杉、米松、米桧、米栂などの輸入材があります。針葉樹は、建物の構造材を主として、造作材や仕上材、建具、家具などに使用されます。
 広葉樹には、ケヤキ、シオジ、ナラ、ブナ、セン、カツラ、シナなどの国産材のほか、ウォルナット、チーク、ローズウッド、ラワンなどの輸入材があり、床や壁の仕上材を主として造作材や建具、家具、装飾材などに使用されます。
 また、和風建築では、木目の特に美しい杉、檜などの希少価値の高い柱材、床まわり材を銘木と言いいます。

2.合板
 一般に本物の木材は、木目の方向には割れやすく、木目に直角には割れにくい特徴があります。これに比べ、合板は、木理に関係なくどちらの方向にも使えるように木材の方向性をなくしました。合板は、各単板の繊維方向を一枚ごとに直交させて、3枚、5枚と奇数枚に合わせ、接着剤で張り合わせて1枚の板とします。単板を張り合わせる接着剤の発達は素晴らしく、近代になって、急速に需要は伸びました。
 本物の無垢材を使ったら、びっくりするような高価なものでも合板の上にケヤキやチーク、檜などのスライスした薄いものを貼る事により、とても安価に仕上げる事ができます。また、長さ・幅方向に方向性がないために、かなりの薄いものでも丈夫さを期待できます。
 自然の木には、それなりに良い味があるのですが、使ってみると乾燥するにつれて、どうしても割れたり、縮んだり、狂ったりします。その点、合板だと直射日光があったても、暖房をかけてもそれほど狂いは生じないのです。

3.壁材
壁に使う材料には、単板化粧合板、合板樹脂化粧合板、プリント合板などがあります。

 単板化粧合板

天然木の単板を張った化粧合板で、内装仕上材としては、ナラ、セン、ケヤキ、チーク、ウォルナット、マホガニなどの広葉樹類と杉、松などの針葉樹類がる。秋田杉、吉野杉、屋久杉、春日杉などの天井板は、有名である。

 合板樹脂化粧合板

合板の上に樹脂加工した印刷化粧紙を貼ったものや塩化ビニルシートを貼ったもの、ポリエステル化粧板、メラミン化粧板などを貼ったものがある。

 プリント合板

合板の上に直接木目などを印刷したもので、最近の優れた印刷技術により天然木のような模様、肌合い、色調などバリエーションが多種多様。

4.フローリング
 床の材料として、最近では、最も多く使用されています。玄関ホール、廊下、リビング、寝室、洗面所、便所とあらゆる所で使用されます。
 特徴としては、木でできているという事でとても温もりを感じる事ができます。衝撃にも比較的強く、万が一、傷が付いた場合でも補修がしやく、汚れ、水にも強く、掃除もしやすい。値段的もリーズナブルで手軽です。しかしながら、全面的な貼替えをするのは、難しい。これからも、ずっと使用されることでしょう。
 フローリングには、無垢物と貼物があります。無垢物は、いわゆる本物の木を加工したものです。値段的にも貼物に比べ高く、高級感があります。本物ですので、深い傷が入っても削れば美しくなります。反面、十分に乾燥してなければ、床暖房などで、スキがあいたり、歪んだりするので、材料の吟味を慎重にしなければなりません。
 貼物は、いわゆる合板に薄くスライスした皮を貼ったものです。美しい部分だけをとるので、貼りあがっても美しい。また、合板は、くるいがないので、無垢物のようにスキがあいたり、歪んだりすることはありません。しかし、傷が深ければ、補修はしにくくなります。値段は、安価なものから揃っていますので、非常に手軽です。
 最近では、各メーカー共、非常によく研究していて、床暖房が内臓されて、フローリング自体が暖房機になって、冬でもポカポカの快適なものもあります。衝撃にも強く、傷もつきにくく、体にも優しく、また、音も吸収するという特徴をもったフローリングが出ています。樹種も色々なものがあります。塗装もいろいろと出ており、そのしかたでもいろいろと表情が変わります。それぞれの部屋に応じたフローリングを選んでください。

5.集成材
 木材を厚さ15〜30mmの挽き板にして、繊維方向を平行に重ねて長尺ものに接着したもの。強度性能のバランスがよく、形状は直材、板材、湾曲材もある。もともとは、柱や梁などの構造材に使用することが多かったが、最近は家具用材料として、テーブルの天板、パネルの甲板などに使われることが多くなった。

6.パーティクルボード(繊維板)
パーティクルボード(繊維板)は、木材の小片を接着剤で熱圧成形したもので、形状は、パネル状の板材である。合板パネルの芯材として利用され、造付け家具、システムキッチン、収納家具、テーブル、カウンターなどに広く用いられる。

7.コルクタイル
コルクは、軽くて弾力性に富み、保温性にも優れているので床タイルに使われる。また、化粧コルク化粧合板として、壁貼材料としても使われる。


8.カーペット
 最近は、フローリングの普及でカーペットは、減少しつつあります。絨毯は、どうしても、毛間に塵、埃がたまりやすく、汚れもつきやすいので、維持するのが大変なようです。また、しかしながら、絨毯の足ざわり、温もり、デザイン性の良さ、高級感は、フローリングと違った良さがあり捨てがたいものとなっています。
 カーペットを選ぶポイントは、耐摩耗性、歩行感、汚れの付きにくさ、不燃性、耐久性、保温性などがあげられます。ウールのカーペットは、適度な弾力性を持ち、保温性、染色性、難燃性、耐久性もあり、静電気も起こりにくい。しかしながら、虫に弱く防虫加工が必要となります。 ナイロンは、耐摩耗性、弾力性があり色もよく出るのですが、静電気が発生しやすい。アクリルは静電気の心配は、あまりないのですが、パイル糸が毛羽立ち、汚れやすいのが欠点です。ポリプロピレンは、吸湿性がなく軽いのですが、強度、耐久性、耐熱性、弾力性ともやや劣り、毛玉ができます。いずれにしても、その部屋に相応しいカーペットを選ぶことが大切です。

カーペットの種類

手織り緞通(だんつう)

絨毯には、手織りと機械織りがあるが、この手織り緞通が最高級品とされる。豪華な感覚をつくり出す緞通には、ペルシャ緞通、トルコ緞通、中国緞通などがある。品質的には、パイル数や色数の多い緻密なものほど高級品である。

ウィルトンカーペット

18世紀末にイギリスのウィルトン地方で生まれた機械織り高級カーペットである。25色のパイル糸を美しい柄模様に織り上げ、パイル糸の打ち込み密度が高く、丈夫で耐久性が大変に良い。ウィルトンは、品質がとても良い。

アキスミンスターカーペット

イギリスのアキスミンスター地方で生産され、19世紀末にアメリカから多色織り機械を導入して、数十色のパイル糸を使って伝統的な柄模様を織る。

タフテットカーペット

アメリカで20世紀の初めにそれまでの手刺しの敷物を機械化したもの。最近のナイロンやアクリルなどのパイル素材の開発や織り、染色技術がコンピューター制御されるようになってから生産性が高く、大幅にコストダウンされ、流通市場の8090%を占める。

フッグドラグ

基布の上に、手動のピストル型フックマシーンでパイル糸を刺し込みながら植付け、裏側をラテックスで固めている。フックドラグはパイル糸の太さや打ち込み密度の調整が自由にでき、毛足の長いシャギータイプ、デザインの違う色柄など、1枚づつつくることができる手刺し敷物である。

ニードルパンチカーペット

パイル糸のない不織りカーペットで短繊維のフェルトを針で突き刺しながら基布に圧縮成形したものである。普通のカーペットのようなパイル糸がないので感触が硬く、弾力性も乏しいが低価格で施工性が良い。

コードカーペット

ニードルパンチと同様にパイル糸がなく、基布にうねりのついたフェルト繊維を接着固定してつくられる。普通のカーペットよりずっと感触、弾力性に劣るが、安い。


カーペットに使用するパイル糸の素材には、天然繊維と化学繊維とがあります。天然繊維には、古くから使われてきたウール、絹、麻、綿などがあり、化学繊維には、石炭や石油などを原料として、化学合成的に作り出された合成繊維のナイロン、アクリル、ポリプレン、ポリエステルなどと木材などを原料とした再生繊維のレーヨンがあります。

カーペットの素材
ウール ウールは、部分的な圧迫に対する復元力や適度の弾力性、保温性があって、耐久性も抜群で、パイル糸の感触が暖かく快適である。染色性もよく織り上がりが美しい。防虫加工がされている。燃えにくく、こがしても焼け焦げ跡が目立たない。値段は、高い。
ナイロン 弾力性、耐磨耗性、耐水性、耐薬品性、防虫性、防塵性も高く、歩行量の多い事務所などに多く使用される。燃えやすいが、値段は、ウールに比べ安い。
アクリル 弾力性、復元性に優れ、保温性、発色性もよく帯電性もない。しかし、パイル糸に毛羽たちが起りやすく、そのために汚れやすい。防火性については、燃えやすい。値段は、ナイロンより若干安い。
ポリプロピレン 合成繊維の中では、最も軽い素材で、耐薬品性は良いが弾力性、染色性はやや劣る。吸湿性がないので濡れてもすぐに乾くが、感触も硬いことからニードルパンチカーペットなどに利用される。値段はやや安い。
レーヨン レーヨンは木材パイルからの再生繊維で、その生産量は群を抜いている。カーペット素材としては他の繊維と比較して弾力性、耐久性、防火性とも劣るが、染色性は極めて良好である。カーペットの中では、一番、安い。


 以上のようにカーペットには、さまざまな種類がありますが、その用途に応じて、選択しなければなりません。
 例えば、カーペット敷きの上は毎日人が歩行するので、耐久性が要求されるので、それに対応した強度のものを選ぶ必要があります。耐久性を決めるのは、パイルの緻密度と素材でウールが一番耐久性が高く、ナイロン、アクリル、ポリエステル、レーヨンの順となる。

9.クロス
 最近になって、クロスは、急速な勢いで普及しました。その理由として、デザインが豊富で安価なので、手軽に貼りかえる事ができるからです。耐久性もよく防火性能に優れているものもあります。種類は、紙、ビニールクロス、布クロスなどがあります。これらを全てひっくるめてクロスといいます。
 紙としては、洋紙系と和紙系があり、洋紙系は、表面加工したものプリント・エンボス加工したものがあり、クラシックからモダンまで色柄・デザイン共すぐれたものが多いです。和紙系は、襖紙の鳥の子紙が代表的で昔から日本の伝統的な和風建築に使われていました。
 布(織物)は、緞子地織物、ドレープ地、ヘンプ、ヘッシャン、葛布、紙布、パイル織物、プリント織物などの種類があり、安価のものから古典的な様式に合うようなゴージャスなものまで、さまざまなものがあります。
 ビニールクロスは、最も、普及されており、機能性・装飾性にすぐれ、大量生産できるので、最もリーズナブルです。
 いずれにしても、大変、多くの種類が出回っていますので、部屋の雰囲気、用途に合わせて決める必要があります。選択に迷ったときには、専門のインテリアコーディネイターにアドバイスを受けるのが良いかと思います。

 壁紙の種類
紙壁紙 紙壁紙には、加工紙を用いた装飾壁紙と和紙を用いた日本風の壁紙があります。
紙壁紙は、色柄を印刷したり、エンボス模様の物があり、デザイン、色柄共優れたものが多く、ヨーロッパ、アメリカから多く輸入されている。
和紙は、鳥の子紙や新鳥の子紙などの襖紙としてつくられた和紙のことである。鳥の子紙は、コウゾを原料とした伝統的な手梳き(てすき)和紙の高級品で新鳥の子紙は、コウゾを主な原料としてパルプを混ぜて、機械梳きした和紙のこと。
織物壁紙 織物壁紙は、各種の織物を利用しただけでなく、不織布および植毛製品まで多くの種類がある。織物壁紙は、織物の風合いをもった柔らかい質感に高級感がある。豪華な反面折り目に汚れがつきやすい。織物繊維には、レーヨン糸が多く使われ、他にナイロンやアクリルなどの化学繊維や麻、綿、絹、ウールなどの天然繊維が使用される。
ビニール壁紙 塩化ビニールは、量産でき、最も生産量が多い。デザイン、色柄も極めて豊富で価格も安く、施工も用である。耐水性、耐薬品性に優れ、汚れても濡れた布で拭き取ると簡単に汚れが落ちる。しかし、感触が冷たく人工的で、色あせたり、結露したりすることもある。
木質系壁紙 杉、松、チークなどの天然木を薄くスライスした単板に紙を裏打したものと、コルクを薄くスライスしたコルクシートを裏打ち紙に接着したものの2種類がある。
無機質壁紙 ひる石、アスベスト、金属を素材とした3種類の壁紙がある。ひる石壁紙とアスベスト壁紙は防火性能があり、金属箔壁紙はメタリックの効果がある。

 
 以上のように壁紙にもさまざまな種類があるので、用途に応じた選択が必要になります。

10.レンガ
 レンガのもつ質感と味わい、レンガ積みデザインの素朴な美しさは、古くはヨーロッパの住居に、近年では店舗やオフィスビルなどで広範囲に使われます。
 インテリアにおけるレンガは、内装では、壁面に化粧積みしたり、暖炉まわりに積んだり、装飾的に使われます。外部では、玄関、アプローチの床やサンルームの床などに使われます。
 レンガの積み方、床のレンガの貼り方には、数種類のものがあります。

 
イギリス積み フランス積み
長手積み 小口積み
内装積みデザイン
 
いも貼 馬踏み貼
三つ目市松貼 二丁あじろ
レンガの床貼デザイン

11.タイル  
 タイルは、天然の粘土と原石の粉末とを原料にして、細かく砕いて適当に調合したものに水を加えて練り上げ、成型し、乾燥させて焼き上げた陶磁器のことです。
 大きさは、モザイク状の細かいものから30cm角の大きなものまでさまざまです。素焼きの上に薬をかけて焼いた施釉タイルと無釉タイルとがあります。焼成温度によって吸水率や硬度の異なるタイルがつくられます。硬度の高いものから磁器質、b器質、陶器質、土器質の4種類に分けられます。
 タイルは、耐久性、耐火性に優れており、寸法と品質精度が極めて高く、施釉という表面処理により美しい色調と光沢をもっている。
 最近は、大型化とデザイン化がすすんでおり、色彩面でもバリエーションが豊富で、模様やデザインも多数です。ヨーロッパやアメリカからの輸入タイルは、デザインには、特に優れている。

12.石

 石材は、材質的な品質の高さでは、他の材料に追従を許さないほど品格が高く、豪華にしてくれる材料です。インテリアの高級化に伴って、オフィスやホテル、商業施設、住宅などの内装に多く用いられます。
 石材の種類を岩石の組成上から分類すると火成岩、水成岩、変成岩の3つに分けられます。それぞれの石について特徴を調べてみます。

 火成岩
花崗岩 硬くて耐久性、耐磨耗性があり、床材に適している。磨くと表面の模様と光沢が美しい。表面仕上には、叩き仕上と磨き仕上があり、叩き仕上は、のみやびしゃんを使って手加工で行われる。また、ガスの火炎を放射して石肌の結晶をはじきながら仕上るのひジェットバーナー仕上があり、ざらざらした粗面によって床滑りを防ぐ。御影石、稲田石などがある。
安山岩 安山岩を板状にしたのが通称鉄平石である。ガラス質の細かい結晶からできていて、硬くて耐磨耗性が大きく、色は濃い暗色である。どちらかというと和風のイメージが強い。
 水成岩
砂岩 砂が固まったもので、粗密で柔らかく、吸水性が大きい。耐磨耗性が小さいので床材には不向きで内装壁仕上材に用いられる。汚れやすく、光沢はほとんどないので表面仕上は、装飾的な割れ肌にすることが多い。
粘板岩 強度が大きく吸水性が小さいので、薄板にして屋根葺きに用いられる。色調は暗い。天然スレートは、粘板岩の一種である。
凝灰岩 大谷石で知られる。材質は軽く吸水性が大きい軟石。耐久性が小さくて脆い性質である。
 火成岩
大理石 石灰岩が高熱、高圧で結晶化した石。耐久性は、あまりないが、結晶が緻密で品がよく、磨くとテクスチャアが最高に美しく内装仕上には、最適である。。表面仕上にはと石で荒ずりする程度の粗磨き、さらに細かい砥石で磨き上げる水磨き、されに艶だし粉を用いてバフ仕上した本磨きがある。
蛇紋石 肌は、大理石に似ていて、磨くと緑色や白の混色が美しく現れる。

 
 石材は、色調、模様、表面仕上がデザイン上のポイントです。色調、模様は、採石された国や場所と原石によって決まるのですが、表面仕上は、人工的な加工により表情が変わってきます。その石の表面仕上について説明しますと、

 石材の表面仕上
割肌 軟らかい石を平たく割ったままの自然肌の仕上
鋸挽き目 軟らかい石を鋸挽きしたままの粗面の仕上
こぶ出し 野石の大きな出っぱりと落とした程度の仕上
のみ切り こぶ出し面をのみで粗面に刻んだ仕上
びしゃん のみ切り面をびしゃんという槌で仕上る
小たたき びしゃんの粗面を平滑面に仕上る
磨き 粗磨き 砥石で荒ずりする程度で、鉄石を使って円盤で仕上る
水磨き 水磨きは砥石を使って渦巻き研磨剤で磨く
本磨き さらに艶だし粉末を用いてバフ仕上する
ジェットバーナー 花崗岩の表面をガスバーナーで加熱し、表層の結晶を剥離して粗面をつくるもの。凹凸仕上を能率的に行う。

 
13.金属
 金属は、強度が強くて弾性があり、形状が見た目に美しく、防火材料としても用いられます。しかし、空気中に放置しておくと酸化しやすく、錆びるので塗装やメッキによる防錆のための表面処理をしなければなりません。また、切断や成形などの加工が容易なので内装用の部品にも使用されます。

 金属の種類
鋼板(スチール) 含有炭素料の少ない鋼板ほど、強度が小さくて柔らかく加工性がよい。しかし、一般の鋼板は、酸化がしやすいので必ず塗装や亜鉛メッキなどの防錆処理をしなければならない。
亜鉛鋼板 亜鉛鋼板は、鋼板に亜鉛メッキを施して強固な被膜をあたえたものである。さらに、着色焼付け塗装をして、耐侯性と耐薬品性をもたせたのが着色亜鉛鉄板である。また、塩化ビニル塗膜を施したものにポリ塩化ビニル金属積層板があり、カラフルで耐触性、耐薬品性に優れる。
ステンレス鋼板 ステンレスは、ヘヤーライン、エッチング、鏡面などの表面仕上がなされると非常に美しい外観となり、耐蝕性、耐熱製に非常に優れる。ステンレスは、鋼板に炭素とクロームとニッケルを加えたもので、18-8ステンレスというと、クロム18%、ニッケル8%のもので、JIS記号SUS304である。
アルミニウム アルミニウムは、軽い金属で空気中で表面が酸化してできた酸化被膜によって、腐食を自己防止する性質をもっている。

14.ガラス  
 ガラスは、従来から窓や建具、家具などに使われており、最近では、ガラス材料自身の技術進歩によりデザインとしてインテリアにも使われるようになってきました。 ガラスのもつ色調、透明感は、モダンな現代感覚によく溶け合います。

 ガラスの種類と用途
 普通ガラス
フロートガラス 普通ガラスのほとんどは、このフロートガラスで両面は、平滑・平行で歪のない透視性の優れたガラスである。住宅や一般建物の窓や建具、鏡の基板、家具の天板などに使われる。
磨き板ガラス 板ガラスの表面が極めて平滑で、どの方向からみても透視像や反射像がゆがまない特性をもつもので、高級建築の窓、ショーウインドウ、間仕切りに使われる標準品とがある。
型板ガラス 型板ガラスには光は通すが視線は遮るという機能がある。型板ガラスの表面の凹凸によりガラスの透視像のぼやけ具合が違ってくるので、部屋の使用目的により、その模様をどのようなパターンにするのかがデザインとポイントとなる。
 加工ガラス
合わせガラス 複数のガラスを組み合わせて、強度を高めたガラスである。強靭な中間膜を挟んで2枚以上の板ガラスを加熱圧着したもので、風圧、衝撃に強く、たとえ割れても破片の飛散、脱落のない耐圧性、飛散防止性がある安全性が高い。自動車のフロントガラスや防犯用のショールールによく用いられるが、最近は、高級住宅でも用いられる。
複層ガラス 2枚のガラスを複層にして断熱性をもたせたものである。2枚の板ガラスの間に乾燥した空気を密封し、1枚ガラスの欠点である断熱性と結露防止性を向上させている。窓ガラスとして使った場合、窓際の冷え冷えとした感覚がなくなり、居住性が高められる。最近では、断熱サッシュと一緒に使われることが多くなっている。
鏡は、板ガラスに銀またはアルミニウムの塩類を還元付着させて反射被膜をつくったもの。インテリアとしては、壁全体に鏡をはったり、間仕切り、出入口、扉、収納家具扉、柱廻りにも空間演出のために使用することが多い。
 特殊ガラス
網入り板ガラス 板ガラスの中に金属を入れ、防犯、防火用として使われる。金網の入った、網入りガラスと金属線の入った線入りガラスがある。また、割れたときの飛散防止性、耐火性もあり、乙種防火扉として使用される。
強化ガラス 板ガラスを高熱処理して強化したガラスのことで、衝撃強度、曲げ強度は普通ガラスの3〜5倍ある。用途としては、出入口の扉や間仕切り、手摺、家具の天板などに使われる。
熱線吸収板
ガラス
赤外線を吸収するようにした色付きの板ガラスである。製造の過程で鉄、ニッケル、コバルトなどの金属を添加して着色する。ブルー、グレー、ブロンズの3色がある。断熱性があるので、冷房時には有利である。紫外線が50%程度カットされるので、家具やカーペットによる退色は、防げる。
熱線反射ガラス ハーフミラーとして窓ガラスに使われる。フロートガラスの製造の途中でガラスの表面に反射率の高い金属酸化物を焼き付ける。太陽放射熱の大半を反射するので、冷房負荷の軽減に効果がある。
発色ガラス フロートガラスの製造の途中でガラスの表面に金属イオンを浸透させて発色させたもの。カラー板ガラスとして壁装用、照明器具などに使用する。
色焼付けガラス 板ガラスの片面にセラミック塗料を高温焼付けして急冷処理した不透明着色ガラスである。ステンドガラスや照明器具のシェードに使われる。
結晶化ガラス 結晶化ガラスの材質は、大理石のような優雅な感触と、ユニークな光特性による透明な色調をもち、耐侯性、強度とも極めて大きい仕上材である。最近、商業施設や劇場などの内外装などに使われるようになってきた。
 その他のガラス
ガラスブロック 成形ガラス片を溶着して中空、箱状にしたブロック形のものである。ガラスブロックを積んで、壁にしたものは、光の透過、遮音、断熱、防火などの効果がある。玄関ホールや階段ホールなどで採光と装飾を兼ねてガラスブロック壁とする。
ステンドガラス ヨーロッパのゴシック教会や寺院の建築装飾として発達したもの。ステンドガラスは、色ガラスを用いてつくられ、デザイン図形に合わせて色ガラスをカットし、鉛、または黄銅の組子で接合しながら図案化される。高級住宅やホテルの窓の装飾用に使われる。
モザイクガラス モザイクガラスは、装飾壁画として高級住宅や公共建物の玄関ホール、ロビーなどの壁面に飾られる。デザイン図形を裏返した台紙に、10〜20mm角の色ガラス片を貼り付けてモザイク板をつくりこれを壁に貼り付ける。

15.畳
 最近になって、ほとんど洋間の住まいが多くなり、和室というのは、めっきりと減ってしまったのですが、畳は、どういう状況になっても日本人の心の中に染み付いているようです。新しく畳を敷いたときのあの匂い、足ざわり、保温性、遮音性、清潔感、落ち着きなどは、素晴らしいものがあり、今でも床材としては、欠かせないものとなっています。
 畳には、藁床を使った本床畳と発砲樹脂系断熱材を床に使った化学床畳(スタイロ畳)があります。どちらもイグサの畳表ですから、見た目は変わりないのですが、スタイロ畳は、安価でかなり軽いです。しかしながら、吸湿性、足ざわりの感覚においては、本床畳に勝るものありません。

16.塩ビシート
 塩ビシートは、水まわりの床材料として、よく使われます。非常に、水に強くて、傷がつきにくく、貼替えも容易にできます。デザインも豊富でいろいろな表情を創り出してくれます。いささか、足ざわりが冷たい感じがするかもしれませんが、裏面にクッションを貼るような物も出てきて、かなり改善されています。値段の方もとてもフローリング、絨毯に比べ安価です。ただ、プリントなので、本物のフローリングとか絨毯と比較して高級感に劣ります。しかし、印刷技術の進歩により、木目調やカーペット調の本物に劣らないくらい精巧にできている物もあります。トイレとか洗面所、脱衣室、倉庫・物入などにお勧めです。

17.タイル
 タイルも水を非常によく使用する玄関・浴室・便所などに使います。タイルは大きく、外装用と内装用に分かれ、それから、壁用・床用など使用場所により分類されます。タイルの原料は、粘土・陶石・長石などです。吸水率により磁器質(じきしつ)・b器質(せっきしつ)・陶器質(とうきしつ)に分けられ、磁器・b器・陶器の順に吸水率が大きくなります。タイルはうわぐすりの有無によって、施釉タイル(つやあり)と無釉タイル(つやなし)に分けられます。
 選び方のポイントは、水を使用して足が直に接する箇所なので滑りにくいというのが、第一条件です。それと、磨耗しにくい、掃除や手入れが簡単なこと、美しさなどです。デザイン、色なども豊富に出ていますので、浴槽の色ですとか、洗面台の色に合わせて決めるのも良いでしょう。壁のタイルとの調和も大切です。

18.石
 石は、耐久性が高く強度が大きい上に、色合いや仕上がりの光沢、足ざわりなどがとても高級感があり、しばしば、床材としても使用されます。しかしながら、重量がある上に高価なため、使用されるところは限られており、玄関、浴室、便所、廊下の一部などです。
 石の種類もいろいろとあり、御影石、大理石、砂岩、安山岩などがあります。住宅に最もよく使われるのが、御影石や大理石です。使用場所によって、石の仕上げ方で区別し、その仕上げ方の違いで全く違った表情を醸し出します。

 石の仕上げ
本磨き  艶があり、鏡のようにものが映る仕上げ。磨くときには、#800〜1500のカーボン砥石を使用し、艶出し粉を付けて、バフ仕上げとする。
水磨き  つるつるしているけれど、鈍い艶しかでない。#400〜800のカーボン砥石を水を使って磨く。床の滑りを気にするところでは、この仕上げ方にする。
ジェットバーナー仕上げ  表面を洗浄して、2000度近いガスの炎で斑なくあぶると石の表面が炸裂する。同時に水で表面を冷却し、バフ研磨して仕上げる。
粗磨き  かなり粗い磨き方で、#24〜80のカーボン砥石で磨く。
小叩き 石の表面を細かく叩いて面を荒らす。
ビシャン叩き 石を特殊なハンマーでたたく。大谷石などの柔らかいものに適する。
割れ肌 石を割り裂いてそのままの仕上げとする方法で、層をなして産出する鉄平石や玄昌石、砂岩などによく使われる。



 

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