住まいづくりの基礎知識

 INDEX

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●住まいづくりの第一歩
●基本的な考え方
●費用のチェック
●建物と費用の関係
●資金の調達
●土地の準備
●どこに頼むのか
●建築士の仕事と報酬
●建築の法律
●間取りと部屋の計画
●図面の見方
●見積書の見方
●施工会社の選び方
●工事契約の仕方
●建築の式典
●工事が始まってから
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●バリアフリー住宅
●シックハウス症候群
●家相について
●3階建住宅
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●木材の知識
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●内装の材料
●断熱と結露
●住宅の品質保証
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●電気設備について
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  建築の法律
 

 
 わが国においては、土地の購入して自分のお金で家を建てると言えども、まわりの住環境を保護するために、都市計画法建築基準法などの法律によって、建てることのできる家が制限されています。土地を購入する際に、思わぬ制限があって、思い通りの家が建てられなかったり、ひどい時には、全く建てられない場合もありますすので、まずは、役所の建築課で確認する必要があります。
 そして、その法律にしたがい、プランを決定し、そのプランが法律に適合しているかどうか、役所の建築課でチェックを受けなければなりません。それを、建築確認申請といいます。それでは、その法律について知っておくべきことを説明します。


都市計画法

 自分の土地だからといって、好き勝手に建物を建ててしまうと、防災・防犯の問題、道路・下水・公園・学校などの不足が生じ、生活環境の悪化をまねく事になります。
 そこで、都市計画法により、さまざまな制限を設けています。大きくは、市街化調整区域と市街化区域とに分けられます。市街化調整区域とは、市街化を抑制しようとしている区域で住宅を建てることができません。市街化区域では、その地域ごとに建築できる建物の用途を区別し、その用途に応じて建てれる建物を制限しています。土地を購入する時には、必ず、その土地がどの用途地域かを確認しなければなりません。
 その用途地域を整理してみますと、

 第一種低層住居専用地域

低層住居に関わる良好な住居環境を保護するための地域。1〜3階までの個人住宅、共同住宅、寄宿舎などが建築できる。店舗は、兼用住宅のみで生活に不可欠なサービス業に限られる。住宅以外に建築できるものは、小・中・高校、図書館、保育所、老人ホーム、診療所などで商業・工業施設の建築はできない。最も、環境良好な地域。

 第二種低層住居専用地域

主として低層住居に関わる良好な住居環境を保護するための地域。床面積が150m2以内の店舗・飲食店、美容院、学習塾など建築しても良い。

 第一種中高層住居専用地域

中高層住居に関わる良好な住居環境を保護するための地域。大学、病院、マンションなど建築可能。床面積が500m2以内で2階建以下の店舗・飲食店は、建築しても良い。

 第二種中高層住居専用地域

主として中高層住居に関わる良好な住居環境を保護するための地域。主要な道路に面する地域で床面積が1500m2以内で2階建以下の店舗・飲食店は、建築しても良い。

 第一種住居地域

住居に関わる良好な住居環境を保護するための地域。一定基準の店舗・飲食店、小規模の工場など、建築しても良い。

 第二種住居地域

住居と店舗、事務所の共存を図りながら、良好な住居環境を保護するための地域。大規模の商業施設・マージャン店・、パチンコ店、カラオケボックスなど建築しても良い。

 準住居地域

道路の沿道において、自動車関連施設などの立地と、これと調和した住居の環境を保護するための地域。小規模なホテル・映画館・ボーリング場など建築しても良い。

 近隣商業地域

近隣の住民が日用品の買物をする店舗等の業務の利便を増進するたの地域。住宅や店舗のほかに小規模な工場など建築しても良い。

 商業地域

銀行、映画館、飲食店、百貨店、事務所などの商業の利便を増進するたの地域。住宅や小規模の工場も建築できる。

 準工業地域

主として環境の悪化をもたらすおそれのない工業の利便を増進するたの地域。危険性、環境悪化が大きい工場のほかは、ほとんど建築できる。

 工業地域

主として工業の利便を増進するたの地域。住宅やお店は建てることができるが、学校、病院、ホテルなどは建築することができない。

 工業専用地域

工業の増進を図る地域。工業のための地域で、住宅は建築できない。


敷地と道路に関する制限

敷地については、それに接する道路との関係にも制限があります。もし、前面道路の巾が、4m未満の場合には、道路の中心線より2m後退した線が、法律上決められた境界線となります。したがって、自分の土地でも、2m後退して入ってきた法律上の境界線からはみ出して、建物を建築することができません。塀や門も造ってはいけません。将来、全ての建物が建て変わったときに、道路を広くできるからです。建蔽率・容積率もその部分を差し引いて計算します。


 また、建物の敷地は、原則として4m以上の幅の道路に2m以上接していなければないらい、という法律があります。これは、敷地が道路に接していないと、災害のときの非難や火災のときの消化活動ができなくなるからです。

建物の面積に関する制限

 家を建てるときに、自分の土地だから、敷地いっぱいに家を建てたいと思われる人もいると思います。しかし、建築できる家の面積は、用途地域ごとに建蔽率と容積率により、制限されています。これは、建物が接しすぎていると、火災などのときに延焼の恐れが出てくるし、通風・採光などが悪くなるからです。適当な空地を確保することにより、それらの住環境を保護しています。

建蔽率(けんぺいりつ)
建ぺい率の制限は、用途地域(住居地域、工業地域、商業地域など)の種別、建築物の構造などによりその内容(最高限度)が決められています。
 建ぺい率 = 建築面積(m2)÷ 敷地面積(m2)

容積率(ようせきりつ)
建築物の延べ面積(各階の床面積の合計をいい、同一敷地内に2棟以上あるときは各棟の床面積の合計)の敷地面積に対する割合のことです。
また、敷地の前面道路が12m未満の場合は、道路の幅に一定の割合をかけて、その数字とその都市計画で定められた容積率のどちらか低い方となります。その割合は、住居では、10分の4、その以外は、10分の6となっています。
容積率は、用途地域や全面道路の幅員により最高限度が決められています。
 容積率 = 延べ床面積(m2)÷ 敷地面積(m2

 これらの建蔽率、容積率の最高限度は、各地域・用途によりいろいろと定められていますので、土地購入のときに、役所の建築課に問い合わせて、その土地にどれほどの規模の家が建てれるのか確認するようにして下さい。


建物の高さに関する制限

 住居の用途地域では、道路や隣接地の日当たりや通風などに支障をきたさないように建築物の各部分の高さを規制したもので、絶対高さ制限、道路斜線制限、隣地斜線制限、北側斜線制限の4種類があります。これらは、建築計画図面に建築基準法で定められた一定の斜線を引き、その斜線内に建築物を収めなければいけません。

絶対高さ制限
 第一種・第二種低層住居専用地域において、中高層のマンションを建築するのを制限するためのもの。この地域では、建物の高さの上限が10mもしくは12mと決められています。

道路斜線制限
 「道路斜線制限」とは道路の日当たりや通風に支障をきたさないように建築物の各部分の高さを規制したものです。建築を予定している敷地の前面道路から敷地に向かって一定のルールに基づいた斜線を引き、その斜線の中に建物を収めなければなりません。

北側斜線制限
建物を建築する土地の北側の土地における日照等を確保するため、建築物の高さを規制するもので住居系の用途地域で適用されます。隣地との境界線上から敷地に向かって一定のルールに基づいた斜線を引き、その斜線の中に建物を収めなければなりません。

隣地斜線制限
隣地における日照や通風などに支障をきたさないように建築物の各部分の高さを制限するものです。隣地境界線上の一定の高さによる水平距離に対する勾配斜線をさす。中高層住居専用地域・住居地域の場合に適用を受けます。

防火規制

 市街化区域は、都市の防災という観点から、防火地域、準防火地域、法22条地域(屋根不燃化地域)の3つに区分され、各地域について建築物の防火性能を定めています。
 防火地域においては、3階建て以上または延床面積100m2をこえる建築物は、耐火建築物に、その他の建築物は防火または簡易耐火建築物としなければなりません。
 準防火地域にある木造の建築物は、外壁、軒裏を防火構造としなければなりません。
 耐火建築物とは、RC造や鉄骨造などをいい、簡易耐火建築物は外壁にモルタル塗りなどの防火構造を施したものをいいます。
 法22条地域(屋根不燃化地域)では、屋根は、不燃材料で葺かなければなりません。外壁は、延焼のある部分を土塗壁または、それと同等以上の構造としなければなりません。
 現在の建物のある地域が、防火または準防火地域に指定されている場合、新築、リフォームにかかわらず、建物の全てが現状の規制を満たしていなければなりません。


 その他にも建物をつくるには、さまざまな法律をクリアして初めて建てる事が出来ます。理想の土地が見つかったといって購入したまではよかったのですが、いざ、建築しようとすると規制が厳しくて思うような家ができなかったということにもなりかねませんので、十分に法規チェックをしてから購入するようにしましょう。
 最後に規制が厳しいため、建築主にとっては、希望通りの家ができないこともよくあります。その際に建築確認をとってから、違反建築と知りながら、申請と違う建物を勝手に建てるという話をよく聞きます。違反が発覚した場合、工事中止・取り壊し・設計変更・使用中止などの処置がとられます。建築主が知っておれば、その費用は、建築主の負担となりますし、公的融資を受けている場合は、取り消しにもなるばかりか、罰金の支払いも命じられます。
 これは、絶対にわからないと思われるかもしれませんが、近所の人が通告することもよくあることです。しかし、一般常識として、まわりの住環境の事も考えて、違反建築の話には、絶対に乗らないようにしましょう。

 

提供:潟Aーキアシスト

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