家相とは、家の位置、方位、構造などをみて、居住者の吉凶を判断することです。 家相は、もともと古代の中国で発祥し、仏教の伝来とともに日本に伝わり、江戸時代に易者の登場とともに広まったものです。家相の原典は、古代中国の陰陽説、五行説、河図、易などから始まり、十干、十二支、九星等と重なり今日のような説となったとされています。主に「方位」により判断し、その基準となる「方位」の考え方は、古代中国の「易経」にまでさかのぼります。 家相とは 八方位 家相の良し悪しの判断は、いえの中心から見た方位を使います。方位は、方角とも置き換えられるのですが、東西南北に北東・東南・南西・北西の四つを加えた八つを八方位と言います。これをさらに細かく分けたのが二十四方位です。 家相で特に北は、神聖なものとされており、北極星の位置する北は、太古から方位を指し示す基準となっており、北には磁極があり、地球の自転にも関与しているとされています。 鬼門 また、家相では、鬼門、裏鬼門と呼ばれる方位は、一般にも俗化して恐れられています。北東と南西の方位をさし、東北は陽が当たらず、じめじめとして腐敗しやすい方位で、南西は西日で温度が上昇し、紫外線の殺菌力も弱いので、やはり腐敗しやすいのです。昔から災いを呼ぶ方位として忌み嫌われていました。 福線と凶線 東北と中央、南西とを結んだ線を凶線と言っています。これを三所というのですが、要注意です。これに対して、東南と中央、西北を結んだ線を福線と言って、良い方位と言われています。家相では、この福線と凶線が重要なポイントとなっています。 十二支 十二支とは、子・丑・寅・卯・・・・の生まれ年のことで、方位盤を見ると北の中心15度を子として、十二の方位がひとつおきに並んでいます。家相では、その家に住む人の健康を第一に考えるため、「十二支方位」をおかさないようにします。 九星 暦を見ると、一白水星・八白土星・三碧木星・・・といった星がついています。九星方位は、その人の運勢の強さを左右します。体は、健康で能力もあるのだが、いくら努力してもうだつがあがらない人は、この九星方位をおかしていることが多いのです。 家族定位 家族定位は、生まれ年に関係なく、その人が家族内でしめる立場によって、方位が決まります。その家族定位にあたる方位に、そこに定位をもつ人が使う部屋を設けるのが良いとされています。 張りと欠け 家相では、あちこに凹凸があったり、中心に庭を配置したような建物は、良いとされません。平面図で見たいときの外周の凹凸は、吉凶が明確にわかれます。建物の出っ張り部分を張りと言い、へこんだ部分を欠けと言います。その張りの位置や欠けにより吉凶を判断します。
以上のような根拠で、平面図の中心点を求めて方位線を引き、方位線内の部屋の位置により、吉凶を判断することになります。 しかし、建築設計上、理にかなっている部分もありますが、ただの迷信にしか過ぎない事もあります。 例えば、玄関、便所、台所は、三備と言われ家相では、重要視されていて、この三ヶ所の配置が吉相ならば、良いということです。鬼門と言われる北東は、陽が当たらず、じめじめしていて腐敗を呼びやすい方位なので、トイレや台所の火気、流し台、浴槽などを置くのは、臭いの問題や、腐敗作用が強まり、健康に良くないと言うことからタブーとされています。しかし、水洗便所になったり住環境の整った現在では、絶対視する意義はないように思われます。 家相には、何百、何千とも言われる条件が含まれています。それらの条件を含めた設計をするというのは、まず、不可能と言えます。家相に固執することにより、他の条件が悪くなり使い勝手が悪くなることもあります。 家相を信じるか信じないかは、どこまで信じるのかは、建築主の自由なのですが、それにより、計画を進めてゆく上で障害になり、本当に欲しいと思っている住まいが手に入らないようではいけません。建築主の責任の上で家相を信じるようにして下さい。