費用がある程度確保できる見込みがたったならば、次の作業としては、土地を準備することです。土地がすでにある人は、別にしてこれから購入する人にとってみれば、さまざまな条件をクリアする必要があります。その注意点をチェックしてみます。
土地を購入する際にチェックすることは、
- 土地の値段が適正か
- 家を建てるのに相応しい地盤か
- 周囲の環境はどうか
- 敷地の状況はどうか
- 家が建てれる土地かどうか
- 土地売買契約
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土地の値段が適正か
土地を選ぶ際にまず気になる点は、土地の値段でしょう。その土地が果たして予算内におさまるのかどうか。気に入った土地があって、欲しいと思ったときに所有者と交渉するのでしょうが、特に定価のようなものはなくて、売りたい値段と買える値段とが一致したときが、それが、売価となるのでしょうが、その売価が適正かどうかを見極めるのは、難しいものです。
しかしながら、その土地の値段は、その地域の相場というのが、その地域ごとに、さまざまな要因により形成されています。都会においては、鉄道沿線の住環境の質や最寄駅からの距離、前面道路の幅員、角地かどうか、法規制などにより駅ごとに地価の相場がつくられています。
こうした情報は、地域の不動産業者に行けば、ある程度の情報を得る事ができます。しかしながら、その土地を買わせようという意図から不正確な情報の場合もありますので、必ずしも鵜呑みにするわけにはいきません。こういった事から地価公示の制度が生まれました。
地価公示は、土地の取引価格に対して、適正な指標を与えるために設けられた制度であり、全国31000ヶ所の地点について、毎年1月1日現在の正常な地価を判定して、国土交通省により毎年3月下旬に発表されており、公示価格と言います。公示価格は、国土交通省のホームページ(http://tochi.mlit.go.jp/)や市町村役場、図書館などで調べる事ができます。これらもひとつの目安にすれば良いかと思います。
土地の値段を知るもう一つの目安としては、相続税の路線価を利用する方法があります。これは、相続税や贈与性などの課税のため、都市部の道路ごとに国税局長が決定した土地の単価のことで、1m2あたり千円単位で表示されます。道路に接する土地は、この単価を基準にして評価されます。この路線価は、国税庁のホームページ(http://www.nta.go.jp/category/rosenka/rosenka.htm)や税務署などで調べる事ができます。
家を建てるのに相応しい地盤か
住まいは、安全で快適であることが第一条件です。土地を購入する場合、日本は、地震国なので、地震のことを考えておかなければなりません。地震以外にも軟弱地盤ですと建物の不動沈下による被害もあり、強固な地盤の土地を準備することが大事です。地盤は、一般的に古いものほど強く、新しいものほど弱いとされています。これを知るには、地盤の状況を調べた図書が出されています。また、軟弱地盤というのは、
- ゼロメートル地帯
- 臨海の埋立地・干拓地
- 地盤沈下地帯
- 地下水位の浅い地帯
- 池や湿田の埋立地
- 排水不良の土地
- 重量車が通ると振動の激しい土地
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などです。
これらを詳しく知るためには、県や市町村の土木課、建築課などに問い合わせてみることです。図書館などに行っても調べることができます。
どうしても、その土地が気に入ったのであるが、軟弱地盤であった場合は、地盤調査をした上で地盤改良なり杭を打設したり、基礎を頑丈なものにしたりする方法はあるのですが、好ましい話しではありません。地盤に関しては、地震に強い家で詳しく述べています。
また、その土地が造成地であった場合には、注意が必要です。造成地には、山麓の傾斜地を造成してひな壇式にしたものがよくありますが、この造成地には山肌を削って、平らにした地山(切土)のところと、切り取った土で盛土した部分とがあります。
地山の部分は地盤が硬く、崩れたり、沈下したりすることがなく安心なのですが、盛土部分は、地盤が弱いためにいろいろなトラブルが起こります。それを見分けるのにはどうしたらいいのかといいますと、
- 可能なようならば、造成工事図を見る。
- 高い擁壁ほど盛土の部分が多い
- 擁壁の部分は、盛土の場合が多い
- 鉄筋などをハンマーでたたいてみて、ずぼずぼと入ってゆくようならば、地盤は悪い
- 盛土部分は、雨が降っても雨水のしみ込みが早いので、雨が降った後にチェックしてみる
- 盛土の方が雑草の生育が良い
などです。
また、擁壁をチェックする方法もあるのですが、それには、
- 壁が石垣ならば、その表面が太鼓状にふくらんでいないかどうか見る。ふくらんでいるようならば、崩壊の前兆である。
- 擁壁には、3m2に1個の割合で、7.5cm以上の水抜き穴があるので、これを確認する。
- 石垣の背面に排水用の裏込み石が入れてあるかどうか確認する。はいっていないようなら、集中豪雨の際には危険である。
- 石垣の目地コンクリートに亀裂があるようなら要注意である。
いずれにしても、素人目には難しいかもしれませんので、専門家に調査を依頼しましょう。
周囲の環境はどうか
家づくりにおいては、住環境も非常に重要な要素です。そのチェックポイントとしては、
- 交通の利便性
- 周囲の教育環境
- 住環境
- 生活の利便性
- 地域の将来性
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などです。
交通の利便性は、通勤、通学などの交通の便利さの事を言います。周囲の教育環境は、子育てをするのに学校の設置状況、子供の遊び場、図書館、学習塾の設置状況などはどうか、住環境は、生活するのに騒音、粉塵、振動、大気汚染などないか、ゴミ収集、清掃状態、防犯状況など生活するのに不具合がないか、周りの風景、街並みはどうか、生活利便性は、買物、病院、銀行、役所などの生活に必要施設が便利なところにあるか、地域の将来性は、その土地が、ゆくゆくは幹線道路、鉄道を造る計画がある、大規模な開発計画がある。隣にマンションなどが建つようではいけないのです。これらのさまざまな要因をチェックする必要があります。
敷地の状況はどうか
家づくりのための土地は、周囲の環境と共にその敷地自体の状況がどうかをチェックする必要があります。その敷地が、日照・通風、隣接地の状況、敷地の形状・大きさ、電気・水道・ガスの敷設状況、水はけ、前面道路の状況、法規制の状況など多々あります。
日照・通風に関しては、設計力である程度はカバーできるのですが、最初から良いのがいいにこしたことはありません。家がいつも薄暗く、通風も良くないというのは、健康的でないし、建物のためにも良くありません。敷地の形状・大きさは、自分がイメージしている家が果たしてできるのかどうか、あまりに大きく違うようではいけません。電気・水道・ガスの敷設状況については、最初から敷設しておれば問題がないのですが、新たに引き込むとなると余分な費用が発生します。前面道路の状況、法規制に関しては、建築の法律のところで詳しく述べています。また、実際に現地に出向き、自分の目で確かめてみるようにして下さい。
家が建てれる土地かどうか
土地が自分のものになったと言えど、どんな好きな建物ができるのかと言えばそうではありません。
その土地は、建築基準法・都市計画法などにより建物の建築が制限されている場合があります。市街化調整区域では、住まいは、建てることが出来ませんし、市街化区域でも用途地域に分けられていて、建蔽率・容積率などが定められています。建蔽率が低くて思っていた家が建てられないということもあります。また、市町村によっては、その地域だけの条例を定め、周りの住環境にそぐわないような建物を建てたらいけないようになっています。具体的には、建築の法律のところで詳しく述べていますので、十分にチェックして下さい。
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擁壁に盛土された土地、購入して大丈夫ですか?しっかりとチェックしましょう。 |
土地売買契約
土地を購入することを決めたなら、売買に関する交渉は土地建物の所有者ではなく、不動産業者と行うのが一般的です。不動産業者は、扱う金額が大きいため、宅地建物取引業法(宅建業法)という法律によりその免許を持った者でしか営むことができないと定められています。その不動産業者の経営状況や過去の法律違反の行為などは、都道府県の宅建業担当課で調べる事ができます。
売買契約を結ぶ、その前に宅建業者から重要事項説明書にて説明を受ける必要があります。この重要事項説明書には、登記簿に記載してある上下水道・ガス・電気などの敷設状況・用途地域などの建築制限、売買代金・契約の解約に関することが書かれています。これらを十分に理解し、納得した上で契約する必要があります。
いよいよ契約ですが、必ず売買契約書を作成し捺印する事になっています。契約をするときに、同時に手付金を支払います。手付金は10%程度なのですが、買主からの解約の場合は、返ってきません。手付金は、売買代金に含まれるのですが、残金は、一定期間をおいて支払うことになります。残金の支払いと引き換えに土地の所有権移転登記ができるようにしなければなりません。
いずれにしても、土地選びというのは、家づくりにおいては、非常に重要なことであり、絶対に失敗してはいけません。すぐに条件に適した土地は、なかなか見つかりません。良い土地というのは、すぐに不動産業者の方で買い占めてしまい、店頭に出る頃は、もう売れない土地なのかもしれません。
その土地が家を建てるのに果たして大丈夫かどうかは、素人で判断するのは不安と感じるときには、専門家に相談しましょう。
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