住まいづくりの基礎知識

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  空調設備について
 

 空調とは、空気調和という言葉を略したもので、建物内の空気を、中にいる人間や物のために、機械を使って最適の状態に保つ設備の事です。
 空気には、温度・湿度・圧力の三要素があり、通常、不純ガス・粉塵を含んでいます。この空気の温度・湿度を適度に保ち、不純物を除いて清浄にする設備のことを空調設備と言います。


快適な空調の要素

 快適に暮らしてゆこうと思えば、最近は、この空調なしには考える事ができません。それでは、どういたら、快適な空調を手に入れる事ができるのでしょう。そのポイントをお話したいと思います。

  1. 温度
  2. 湿度
  3. 外気の温度
  4. 部屋の広さ、方角
  5. 部屋の階数
  6. 開口
  7. 断熱材
  8. 発熱源
  9. どんなエネルギーを使うのか
  10. 立ち上がりの速さ
  11. 経済性

 これらの諸条件を全てクリヤーしてはじめて、快適な空調と言えます。

1.温度について
 その部屋を何度まで暖めたり、冷やしたりする事は、機械を選択する大切な要素です。一般的に、暖房は、21度、冷房は外気温が35度の時にそれよりマイナス8度というのが目安になっています。機械を選ぶ際には、これを基準にして少々、ゆとりあるものを選ぶようにします。 

2.湿度について
 湿度とは、空気の中の湿気のことなのですが、快適性を考えるときに、この湿度が重要な要素となります。一般的に、気温が18度から24度のときに相対湿度が40%から60%の時が快適とされています。気温が30度のときでも、湿度が低いとカラッとした感じになり、しのぎやすいし、反対に、5度くらいでも湿度が高いとジワッと冷えて底冷えがします。

3.外気の温度について
 大阪で十分な能力のある暖房設備でも北海道では、能力不足ということは、よくあります。その地域、地域により外気の温度は、違うので、住んでいる地域の最高温度と最低温度を十分に知っておく事が必要です。

4.部屋の広さと方角
 機械の能力を決める上で部屋の広さというのも重要である。カタログを見ると、よく何畳から何畳までと書かれていますが、これは、あくまでも天井高が2.4mくらいを基準にしているので、吹抜けのように天井高が高い場合は、当然、大きな能力ものが必要になります。
 もう一つ、大事なことは、その部屋の位置・窓の方角です。端の部屋と真ん中の部屋とを比べると真ん中の部屋の方が、端に比べて有利になります。それは、端の部屋が断熱材代わりになるからです。また、南側に面した大開口のある部屋などは、冬の暖房時には有利になりますが、夏の暑い時には、不利になります。

5.開口
 続いて、部屋の開口部というのも重要な要素である。居室などの部屋には、必ず、開口部を作るようにと法律でも義務づけられていますが、この開口の面積が大きければ大きいほど、熱が逃げやすく、夏の暑い熱が入りやすくなり、空調する上では、不利となります。
 しかしながら、最近では、サッシュ・ガラスにも工夫がされるようになり、気密サッシュというのができています。いわゆる、断熱サッシュであり、熱を遮断しやすく工夫されています。また、ガラスにもペアガラス(乾燥空気をはさんで、ガラスが2枚重なったもの)と言って、断熱性に優れたものが開発されています。
 また、ブルーやグレーなどの色付きの熱線吸収ガラスは、太陽熱をカットするので、冷房時には、有効ですが、冬には不利になります。これらの特殊ガラスは、割高ですが、長い目で見れば、ランニングコストが抑えられるので、いずれは、元がとれるようになります。

6.断熱材について
 断熱材とは、熱を通しにくい材料の事で、壁、天井裏、床下などの外気に面するところに入れます。一般的に断熱材は、熱伝導率が低いものと言われるものなのですが、発砲スチロールの板やガラス繊維、石綿のくず、などがよく断熱材として使用されます。また、畳やALC、ウールのカーペットなども断熱材として、優れています。
 これらを、適材適所に使用することにより、ランニングコストを抑える事になり、数年でその費用を償却することができます。また、開口部にカーテンやブラインドを付ける事も有効な手段です。

7.発熱源について
 部屋の中には、熱を出すものがいろいろあります。例えば、レンジやオーブン、冷蔵庫、オーディオのアンプ、パソコン、照明器具などです。人間が動いている時でも相当の熱を発します。夏では、これらが、稼動しているときには、機械に相当の負担をかけます。冬では、逆に有利になります。

8.立ち上がりの速さと経済性
 空調機が希望の温度になる速さが早ければ、早いほど大きなメリットです。この立ち上がりの速さが選択の上でも重要な条件です。また、ランニングコスト(経済性)が良い事も大切です。いくら、安く設置できたにしても、いざ、使用すれば、毎月のコストが大きいとそれは、欠陥と言えます。


空調の種類

 それでは、以上のような条件を全て満たし、快適な住環境をつくるためにどのようすればよいのかを説明します。住まいの冷暖房を考えるときに、中央式と個別式とがあります。

1.中央式空調
 最近、高断熱・高気密住宅において、多く使われるようになりました。全館または、1フロアをダクトを使い空調し、各部屋には、吹出グリルと吸込グリルの設置によります。部屋と廊下などの温度差がほとんどなくなり、家中をムラなく暖めるので、結露がなくなり、非常に快適な環境をもたらします。しかしながら、不必要な部屋までも空調することにもなり、設置が大掛かりになるます。家族の生活の時間帯がまとまり、集中している場合には、中央式が適しています。

2.個別式空調
 個別式は、部屋ごとに室内機を設置し、それぞれ個別に空調をする。非常に手軽に取り付けられる反面、空調している部屋としていない部屋、廊下とで温度差ができてしまう。家族の生活の時間帯がずれていたり、個別の生活が多い家族は、個別式空調が適しています。
 この個別式空調の中で、最近、特によく使われるのが、エアコンです。エアコンとは、エアーコンディショナーの略で、冷房・暖房・除湿の室内の空気を電気・ガスで調整できる機械のことです。
 エアコンの原理は、室外機のコンプレッサーで冷媒ガスを圧縮機で圧縮して冷やして、室内側に送り込み、室内機の室内の暖かい空気を吸込み、それを冷やして吹き出します。暖まった冷媒ガスは、室外機に戻って熱を放出して、再び冷やされそれを繰り返して、部屋が冷えてゆきます。暖房の場合は、冷媒ガスの流れを逆に作動させ、室外機により、室外の熱を室内にくみとって暖房する方式で、ヒートポンプ方式といいます。
 エアコンのタイプとしては、壁掛けタイプ、天井埋込みタイプ、壁埋込みタイプ、床置きタイプがあり、それぞれの特徴を言いますと、
 
 ◆壁掛けタイプ
 最も、一般的なもので、壁に設置する。非常に手軽で値段も安く、後からでも取り付ける事が可能ですが、機械が見えてしまい、美観上は、美しくない。

 ◆天井埋込みタイプ
 天井の内側に室内ユニットを据付ける。室内機を天井に埋め込むので、非常に美観上スッキリとします。しかしながら、新築やリフォームなどの時のみに設置可能。
 
 ◆壁埋込みタイプ
 壁の内側に室内ユニットを据付ける。室内機を壁に埋め込むので、非常に美観上スッキリとします。しかしながら、新築やリフォームなどの時のみに設置可能で、値段的にも壁掛けより高い。
 
3.床暖房
 床暖房は、フローリングなどの下にパネル状のヒーターで暖める方式で、中央式と個別式があります。ガス・灯油式と電気式があり、ガス・灯油式は、ボイラーで温水をつくりパネルに配管されます。電気式は、各々の各部屋ごとに設置されます。
 床暖房は、床面全体からのふく射熱と伝導や対流によって暖かさが伝わり、熱は、壁や天井に一度吸収され、再びふく射されるため、室内の温度にムラがなくなり、均一に暖かくなります。床面からのぬくもりが、足の温点を刺激して心地よくあたためる頭寒足熱で床面が約30度、部屋全体が20度前後という理想的な暖房です。また、風を起こさないふく射熱暖房ですので、部屋の空気が乾燥しにくく、埃も巻き上げることなく、静かです。しかしながら、立ち上がりがエアコンに比べ、遅い。
 最近では、床暖房とエアコンとを組み合わせて使用する事が多く、床暖房とエアコンのお互いの欠点をカバーし合い、理想的な冷暖房設備を実現しています。


換気について

室内の環境を快適にするために、換気が必要となってきます。換気とは、炭酸ガスや臭気を排気して新鮮な空気を給気して、入れ替えることです。 換気方式には、自然換気と機械の動力を利用した機械換気とがあります。

1.自然換気
 自然換気は、室内と室外の気圧差や風圧など自然の力を使って給気と排気を行う換気のことで、ランニングコストが発生せず、騒音がない反面、自然現象を利用しているので、コントロールが難しく、最近の高気密住宅では、換気量が不足するというデメリットがあります。

2.機械換気
 換気扇などを使って、室内の空気を強制的に換気する方法で、常に安定した給排気を行うことが可能で、換気量も自在にコントロールすることができます。特に、最近では、冷暖房時の省エネルギー効果を高めるために、高気密・高断熱住宅に移行してきましたので、自然だけの力では、室内の汚れた空気が抜けにくくなり、計画的な機械換気が必要となってきました。しかしながら、自然換気と違い、ランニングコストが発生し、騒音が出る可能性があります。
 台所の換気には、ガスレンジの燃料廃ガス、煙、湯気をすぐ排出するためにフードと換気扇を設置し、便所には、外気に面する窓がない場合には、換気扇を付ける事が義務づけられています。
 換気扇で排気をすると室内の空気が負圧となり、給気口から空気が入ってくる事になりますので、必ず、給気口が必要となります。


 

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