骨組みを固める
前項により、建物には、耐力壁というものがあるということを説明しました。柱、梁、土台にこの耐力壁を設置して、地震力・台風の風圧に備えるのですが、これらに大きな力が加わることにより、柱・梁・土台が外れてしまっては、倒壊の原因となってしまいます。
阪神淡路大震災において、多くの家が倒壊した原因として、この接合金物が不十分で、筋違いが柱から外れた、柱が土台から外れた、土台が基礎から外れたことが挙げられます。そこで、これらが、バラバラにならないように、木造においては、接合金物(補強金物)を設置して、建物全体を強固なものにします。
接合金物の種類
接合金物は、設置する場所により、様々なものがあります。設置場所としては、
- 基礎と土台を接合する。
- 土台と柱を接合する。
- 柱と梁・筋違いを接合する。
- 梁同士を接合する。
- 梁と屋根とを接合する。
など、木造では、あらゆるところに接合金物が使用されます。
アンカーボルト 基礎のコンクリートからアンカーボルトが出ている。このアンカーボルトに土台を据えて、しっかりいとナットで留めることにより、土台は基礎から外れなくなる。 |
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アンカーボルトで土台を留める 基礎に埋め込んだアンカーボルトにホールダウン金物というもので基礎、土台、柱を一体化させる。こうすることにより、大きな地震が来ても、これらの骨組みがばらけることなく、基礎が外れなくなる。 |
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アンカーボルトで土台を留める 実際に土台を据え付けたところ。アンカーボルトは、柱から20cmくらいのところにセットする。 |
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柱と梁・筋違いを接合する 筋違いが柱から外れないように筋違い金物を設置する。また、柱頭には、柱が梁と一体化させるために金物を設置する。こうすることにより、大きな地震が来ても、骨組みはばらけることがなくなる。 |
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梁同士を接合する 直交している梁同士が外れないように金物を設置する。また、火打ち梁においても、梁から外れないように金物を設置する。こうすることにより、大きな地震が来ても、骨組みはばらけることがなくなる。 |
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梁同士を接合する 梁は、通常は、4mもしくは、3mである。どうしても、継目が必要となる。しかしながら、継目となる部分は、弱いために、その部分は、金物で補強する。こうすることにより、大きな地震が来ても、継目は外れずに、骨組みはばらけなくなる。 |
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梁と屋根とを接合する 台風などの大きな風圧により、庇があおられて、小屋組みが壊されることがある。そうならないように垂木留め金物により、垂木と梁との一体化させる。こうすることにより、大きな台風が来ても、屋根が飛ばされることがなくなる。 |
接合金物は、使用箇所により強度が異なる。構造計算で決めるのが望ましい。
このように大地震や台風などによる災害から家を守るために、様々な接合金物が開発されています。これらの接合金物は、同じ種類であっても、力がかかる大きさの違いにより、それに相応しい強度の金物を使用します。また、これらの金物を取り付けるためのビスも仕様、長さなどが決められており、それと異なる施工をすると、相応の耐力が出ないこともあるので、施工には、十分に注意する必要があります。
基本的にこれらの接合金物は、(財)日本住宅・木材技術センターにより定められ、Zマーク表示金物、Sマーク表示金物、Cマーク表示金物、Mマーク表示金物と言われるがあり、これらの表示金物かもしくは、同等以上の品質と性能を有するものを使用しなければなりません。
また、どのような強度の金物を使用するのかは、基本的に構造計算により、決められることが望ましい。ただし、小規模住宅の場合は、あらかじめ、定められている仕様、簡易的な計算でもよいとされています。