見積書のチェック

 図面が出来上がり、施工会社に見積依頼して出てきた見積書というのは、初めての人にとってみればわからないものです。設計・監理を設計事務所に依頼した場合は、その設計事務所が見積査定をしてくれることになっています。しかしながら、工務店やハウスメーカーに依頼した場合は、その見積書は工務店の社内査定しかなく、第三者のチェックがありませんので、注意が必要です。

 相見積をとられた場合でしたら、高い安いがある程度は解るかもしれません。しかし、一社に限っての場合であれば、特に、その見積書が高いの安いのか、適切かどうかは解らない場合が多いのです。そこで、見積書はどういうものか、どのようにしてみるものなのか知っておく必要があります。

 ここでは、見積書が出てきたときに、注意すべきことを説明したいと思います。

 

一式という表現には注意

 よく見積書の中には、1式という文字が書かれています。これは、非常に曖昧な表現であり、この1式という言葉に騙されてはいけません。この1式の中には、どこまでの工事が含まれているのかといことを明確にしておかなければなりません。さもないと、工事が終わってから、「いやこれは、工事の中に含まれていないのです。」「これは、追加をお願いします。』と言われてしまうはめになるかもしれないからです。

 また、とても安いということで決めた施工会社が、手抜き工事をしたり、工事が始まってから倒産してしまった、アフターメンテナンスはでたらめ、ということもあるのです。こういうことを防ぐためにも、図面と同じで、しっかりとチェックが必要です。

 

見積書とは

 見積は、「積算」ともいい、図面・仕様書が出来上がってくると、それに基づいて材料などの数量を計算します。その計算して積み上げたものです。

 積算の過程の中に「拾い出し」というのですが、例えば、土台・柱・梁に使う木材の本数、床に貼るフローリングの面積、壁・天井に貼るクロスの面積、建具の個数などをひとつひとつ拾ってゆくのです。そして、その項目の数量に単価を掛け合わせて合計し、それに仮設費用・諸経費などを加えたものが見積金額となります。

 こうして、出来上がった見積書を図面と照らし合わせながら、単価が適正かどうか、数量に間違いがないか、内容に重複・脱落などがないかなどをチェックしなければなりません。建物の見積金額内訳は、大きく分けて、①共通仮設費 ②直接工事費 ③現場管理費 ④諸経費 に大きく分けられます。

 

共通仮設費

 共通仮設費とは、工事を行うための下準備のものです。例えば、地質調査費・仮囲い・現場事務所・仮設便所・安全対策費・近隣対策費・工事用電気水道などが含まれます。

 

直接工事費

 これは文字通り、実際に工事を行うための費用なのですが、材料と職人さんの手間、専門業者の経費に分けられます。見積書の表現の仕方ですが、工事別に分けていることが多く、例えば、直接仮設工事・土工事・鉄筋コンクリート工事・屋根工事・大工工事・左官工事・金物工事・建具工事・ガラス工事・塗装工事・内外装工事・家具工事・設備工事のように分けられます。

 また、単価は、材料代と手間代、業者の経費と全て合計した複合単価で表現している場合もあるし、分けて表現している場合がありますので、慎重に見る必要があります。

 

現場管理費

 現場管理費は、現場を管理・運営するのに必要な経費であり、労務管理費・各種申請料・保険料・交通費・通信費などが含まれます。これらは、共通仮設費に入れる場合もあります。

 

諸経費

 諸経費には、その会社の運営費が含まれます。社員の人件費、事務所の光熱費・通信費・税金・宣伝・広告費など全てが含まれます。住宅メーカーや工務店が設計料・見積料は無料です、というのは、実はこの部分に含まれている事が多いのです。管理職を大勢かかえている大手企業や宣伝費にお金をかけている住宅メーカーなどは、諸経費の比率が大きい場合が多いのです。

 

別途工事について

 よくオプションとも言われますが、このチェックは、特に入念にするようにして下さい。あとになり、これは、見積に入っていたのではと、トラブルになることが、よくあります。ある工務店が、うちは坪45万円でやりますよとか、50万円でやりますよ、などと破格の値段を言うことがありますが、あまりに安いのは注意が必要です。当然、最初から入っているべきものが別途になっているという場合があるからです。安いと思って飛びついたけど、最終的にはオプションだけで何百万円もかかったということにもなりますので、必ず、入念なチェックをして下さい。その他に、解体撤去工事、設備工事、外構工事なども別項目であげられている場合もあります。

 このように、見積書は施工業者を決める上で重要なポイントとなります。決して、ただ安いというだけで決めてはいけません。物価には、適正価格というものがあります。その適正価格を出している会社が良い会社とも言えます。

 また、内容は適正であったが、値引きが他社と比べて以上に大きいという会社もあります。これは、どういうことかと言いますと、例えば、依頼の建築主が会社のオーナーで、次の社屋の新築があったり、その知り合いに家を建てたいという人がいたり、仲介の建築家に次の仕事を紹介してもらったりして、継続的に仕事がくる可能性を感じた時に、今回は赤字を出してでもという気持ちで特別に出精値引きをすることもあります。

 特に、根拠もなしに安い施工会社は要注意です。大事なことは、その適正価格を見極める眼が必要なのです。その眼を持った信頼のおける建築士にチェックしてもらうのが一番良いことと思われます。

 さらに詳しく、「見積書の査定の仕方」

 

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