アフターメンテナンス
設計監理者、工務店と建築主とは建物ができあがってから本当のお付き合いが始まるとも言われています。実際に入居すると、予期せぬ様々なことがでてきます。雨漏りがした、建具の締りが悪い、クーラーが故障した、また、数年経つと子供が大きくなったので増改築したいなど、設計監理者、工務店とは、入居後もうまくお付き合いをしなければなりません。
点検・メンテナンスは、定期的に行う
建物のメンテナンスは、定期的に点検が行われます。入居後、3ヶ月、半年、一年、二年のようにです。これは、どのようなメンテナンスになるのか、工務店により異なるので、契約時にしっかりと確認しなければなりません。一般的に軽微な瑕疵、例えば、クロスに隙間ができた、建具の締りが悪い、コンクリートに小さなひび割れが起きたなど、重大でないものに関しては、2年の保証がついています。また、構造体に影響する、建物が傾いた、基礎に大きなひび割れが発生した、雨漏りしたなど、重大ものに関しては、10年の保証がついています。
最低でも、2年の保証が切れる前、2年と10年の中間である5年後、10年の保証が切れる前には、きっちりとした点検が必要です。中には、引き渡しが終わると、定期的に来てくれないような工務店もあります。それでも、自主的にも点検は必要です。そして、点検により、何か不具合が見つかったとなると、早目に修繕することが大切です。早目の修繕が建物を長持ちさせるポイントです。
点検のチェックポイント
点検は、チェックシートを作成し、それに従いチェックします。定期点検においての重要ポイントは、構造部分のチェックと雨漏りの原因となる部分のチェックでです。外壁、基礎にひび割れがないか、劣化状況はどうか、サッシュ、サイディング廻りのコーキングに劣化はないか、屋根材に破損、劣化はないか、バルコニーの防水に劣化はないか、結露はしていないかなどです。
外壁にひび割れがあるとその部分より水が浸入し下地を腐らせ仕上げ材が下地から落下する場合もあります。また、ひび割れから水が浸入し、木を腐らせ、その部分に白蟻がつくこともあります。基礎、土間コンクリートに大きなひび割れ、亀裂、段差があると地盤が不同沈下を起こしているのかもしれません。また、コンクリートのひび割れを放置していると鉄筋が錆びて、さらにひび割れを広げることになります。また、サッシュ廻りや外壁のコーキングが劣化していると雨漏りの原因にもなります。具体的にチェックポイントをあげてみますと、
外部に関して
- 建物(地盤)が傾いていないか。
- 外壁仕上げ材にひび割れなどがないか、劣化状況はどうか。
- 開口部まわりのコーキングの劣化状況はどうか。
- サッシュは腐食していないか、取付状況はどうか。
- 基礎コンクリートにひび割れはないか。鉄筋の錆汁は出ていないか。
- 土間コンクリートにひび割れはないか。
- 雨仕舞いは適切になされているか。
- 設備機器から水漏れはないか、配管などの劣化状況はどうか。
- 外部排水が正常に流れているか。詰まり、水溜まりなどないか。異音、異臭などないか。
- バルコニーにおける防水の劣化状況などうか。ルーフドレンの取付状況、劣化状況はどうか。詰まりはないか。
- バルコニー手摺り、笠木などの取付状況、劣化状況などうか。
- 樋の取付状況、劣化状況などうか。
内部に関して
- 天井・壁・床が傾いていないか。
- 床・巾木・壁・天井の下地、仕上げ材に浮き・不陸・目違い・ひび割れなどがないか。
- 床材に床鳴り、不陸、暴れ、伸縮、反りなどがないか。
- サッシュ・建具は正常に開閉するか、反り、暴れ、腐食などないか。
- 給排水機器に水漏れ、異臭、異音などはないか、正常に作動するか。
床下に関して
- 基礎コンクリートにひび割れ、鉄筋錆汁、白華などないか。
- 土台、大引きなどの木は、雨漏り、結露により腐食していないか。
- 換気状況はどうか。
- 排水管などから水漏れはないか。
小屋裏に関して
- 接合金物にボルトの緩みなどないか。取付状態に問題はないか。
- 雨漏れはないか。
- 梁、母屋、垂木などにたわみはないか。