住まいの建築施工

 このサイトでは、これから家を建てたいと思われている人、これから建築を学びたいと思っている学生、これから家を設計したい、現場監督になりたいと思っている若手建築士向けに建築施工の紹介、実際に工事を行うときのポイント、工事が始まった時のチェックの仕方、絶対に失敗しないノウハウをお伝えします。

 

良い建物とそうでない建物とは

 この世の中には、建物が無数にあります。この建物の中で人々は、社会生活を営むことになります。人々が、快適に安心して、健全なる社会生活を営むためには、それを育むための器が必要であることは言うまでもありません。その器が建物なのです。それでは、その健全なる社会生活を営むための建物とはどういう建物かを考えてみましょう。その建物を良い建物とするならば、良い建物とは、どういうものでしょうか。

  • 地震・台風・火災などの災害に強い。
  • 長持ちする。
  • 風雨に強い。
  • 健康に良い。
  • 安全である。
  • 居心地が良い。
  • 使い勝手が良い。
  • 建物を見ると気持ちよくなる。
  • 快適である。

などが様々な条件を挙げることができます。それでは、良くない建物となるとその逆で、

  • 地震・台風・火災などの災害に弱い。
  • すぐに劣化する。
  • 大雨が降ると雨漏りする。
  • 雨が降ったときにすべって、転倒した。
  • 健康被害を受ける。
  • 居心地が悪い。
  • 使い勝手が悪い。
  • 建物を見ると不快になる。
  • 快適性が無い。

などです。建物は、材料の組み合わせです。施工は、この材料を組み合わせていかにしてつくりあげるのか。これから建物をつくりたい、良い建物・家を持ちたいと思う人は、建物を構成している材料の組み合わせ方、つくりかたを絶対に誤ってはいけないのです。これから少しづつですが、良い建物をつくるためにはどうしたらいいのか、そのつくり方についての知識を深めていきたいと思います。

 

建築に携わる人々

 建築工事に入る前に、建築に携わる人にはどのような人がいるのかを説明したいと思います。建物をつくるというのは、決して、一人でできるものではありません。まずは、建物をつくろうと思いった人がいるのですが、その人を中心にして、何百、何千人もの人が関わることになります。その人達が協力して、建物ができあがります。そして、その人達はそれぞれ、役割があり、その役割を全うして、良い建物ができあがります。良い建物をつくるには、どのような人がいて、どのような役割があるのかを知る必要があります。具体的にどのような人がいるのかをあげていきますと、

  • 建築主
  • 設計者
  • 確認審査者
  • 施工者・現場管理者
  • 作業員・職人
  • 工事監理者
  • 検査者

が主な人です。これらの人達の役割を説明します。

建築主

 建物をつくろうと思い立ち、企画し、費用を出す人のこと。個人の場合もあるし、企業・地方公共団体であったりす。施主とか事業主、契約上は、発注者といったりする。

設計士(設計士)

 建築主の求めに応じて、設計図書を作成する人のことである。設計者は、まず、建築主の要望をじっくりと聴き取り、敷地調査、行政との協議、法律のチェックを行い、敷地にできる建物を図面化し、建築主の要望を取り込む。そして、それに相応しい材料を決め、施工者が見積できる図面を作り上げる。一級建築士もしくは、二級建築士が受け持つ。

建築主事(確認審査者・検査者)

 設計士が作成した図面を建築基準法に適合しているか否かを確認審査する人のこと。設計士は、法律に適合しているかどうかをチェックして、建築確認申請書としてまとめる。建築主事は、その申請書を入念にチェックし、適合しておれば、建築確認済証を発行する。そして、工事中及び完了後、その工事が申請書とおりにできているか否かを検査し、できておれば検査済証を発行する。

施工者・現場管理者

 いわゆる工務店とか建設会社とか言われ、建物をつくり上げる。住宅メーカーが兼ねる場合もある。設計士が設計図書を作り上げると、 工事費用がどれくらいかかるものか、そのかかる金額を算出する。算出した内容を見積書としてまとめ、建築主に提出する。設計・監理者がその内容をチェックして、建築主と予算、その他条件に合えば、契約して工事に取り掛かる。現場管理者は、現場監督ともいい、実際の工事現場で図面に基づき、設計監理者の指示を仰ぎながら、作業員・職人に指示を与え正確に建物を作り上げる。

作業員・職人

工事現場において、実際に作業する人のことで、図面に基づき、現場監督の指示を仰ぎながら、実際に道具を使って、つくり上げる。職人の腕の良し悪しが仕上がり状況にも影響する。現場監督はいかに腕の良い職人を集めるのかが、腕の見せ所とのなる。

工事監理者

 設計士が作成した設計図書通りにできているのか否かをチェックする人のこと。実際に工事を始めるとその通りに納まらないことも多々あり、その際に指示を出すのも監理者の仕事である。図面通りに出来上がらず、それが原因で事故でも起きた場合は、工事監理者の責任によるところが大きく、そういう意味から工事が始まると最も重要なポジションと言われるかもしれない。工事監理者は、設計者が兼ねる場合も多い。

 この他にも様々な人が関わっており、これらの人が協力しあって、建物を作り上げる。良い建物をつくるためには、それぞれの人が割り当てられた役割の正確に確実にこなしていく必要があります。

 

建築工事の種類

 建築物をつくりあげるのに様々な工程があるのですが、まず、その工程に関して、説明したいと思います。建築の工程は、分け方はいろいろとあるのですが、最も解りやすい分け方として、大きく分けて

  • 仮設工事
  • 基礎工事
  • 躯体工事
  • 屋根工事
  • 防水工事
  • 内外装下地工事
  • 内外装仕上工事
  • 設備工事
  • 外構工事
  • メンテナンス

になどに分けられます。それぞれの分け方を説明していきますと、

仮設工事

 何事でもものごとを始めるときには、準備が必要です。旅行する、パーティーする。いろいろなことをされるかと思いますが、楽しい旅行をするためには、まず、どこに泊まるのか、泊まるところが決まれば、予約をする。どういうスケージュールにするのか、飛行機に乗るのか、新幹線でいくのか、それが決まれば、チケットを取らなければなりません。このようにこれらを成功させるためには、入念な準備が必要です。工事でも全く同じです。設計でどのような家をつくるのか決まれば、工事をしないと、家は建ちません。当たり前です。その工事は準備も何もせずして、思い付きで工事を始めたところでロクなものができません。仮設工事とは良い工事、成功するための工事を行うための準備といえます。ですので、この準備がいいかげんであれば、工事はうまくいかず、工事がうまくいかなければ、良い建物をつくることはできません。ですので、この仮設工事(準備)は極めて重要なことです。

基礎工事

  準備ができると、いよいよ本格的な工事が始まります。何事でもなにが大事かといいますと、まず、「基礎」です。基礎がしっかりできていないと、その上にいくら良いものをつくっても、全てダメです。構造には、木造、鉄筋コンクリート造、鉄骨造とあることはご存知だとは思いますが、基礎の場合は、どのような構造であろうと、全て、鉄筋コンクリート造となります。工程的にいうと、地盤が悪い場合の地盤改良から始まり、掘削、栗石入れ、墨出し、鉄筋組、コンクリート打設、埋め戻しという順番で行われます。個別の工事に関しては、別ページで詳しく説明したいと思っていますが、どの工程もおろそかにすると、後々、建物が傾いた、大きな地震で倒壊したなど、取り返しがつかないことになります。ですので、基礎工事は工事の中でも極めて重要で慎重に進めていかなければなりません。この中でも、特に鉄筋とコンクリートの知識は深く知っておく必要があります。また、実際の工事以外に設計図通りにできているのかどうかをチェックする工事監理も非常に重要です。

躯体工事

 基礎工事が出来上がると、建物の骨組みをつくる躯体(くたい)工事が始まります。木造・鉄筋コンクリート造・鉄骨造とそれぞれ、工法が異なってきます。構造の違いでつくり方が大きく変わってきますので、その違いをしっかりと理解しておく必要があります。木造であると、木についての知識、鉄筋コンクリート造であると、鉄筋とコンクリートに関する知識、鉄骨造であると、鉄骨に関する知識が必要なのはいうまでもありません。基礎と同様にこの躯体工事をおろそかにしてしまうと大きな地震、台風などの災害時には大きな被害を受けることになってしまうので、しっかりと工事を行い、その工事が適正なのかどうかのチェックをしっかりと行う必要があります。

屋根工事

 躯体工事が終了すると、屋根工事が始まります。屋根の役割というのは、雨・風・暑さ・寒さをシャットアウトするという役割があります。それが、一つでも欠けると、建物としての機能が損なわれてしまいます。屋根工事は、大きく、下地工事と仕上げ工事に分けられます。下地工事において、躯体から屋根が外れないようしっかりと固定し、雨水の侵入を防ぐために防水工事もしっかりと行わなければなりません。仕上げ工事では、どの材料を使用するのかが、成功か否かの大きな分かれ道となるのですが、設計段階で決めた材料をそれぞれの施工要領書にもとづき、正確に施工する必要があります。そして、特に下地段階、施工中におけるチェックが良否のポイントです。これをおろそかにすると、大きな台風で屋根が飛んだ、雨漏りした、夏が熱い、冬が寒いなどの不具合が起きます。

防水工事

 防水工事では、大きく2つに分けられます。1つは、バルコニーでの床や壁、地下室での床や壁の面を防水するものと、開口部において、壁とサッシュとの取り合い、屋根と壁との取り合いなど線を防水するものの2種類です。前者においては、施工不良による漏水は比較的少ないのですが、後者の異種類仕上との取り合いからの漏水事故は、非常に多いのです。漏水を起こすと、生活が乱され、精神的ストレスなどによる健康被害、漏水による家具などの劣化、そして、建物内部に水が浸入することにより柱・梁・土台などが腐食、白蟻にも喰われ、大きな地震がくるとその部分から崩壊していきます。したがって、絶対に防水工事をおろそかにすることがあってはなりません。

内外装下地工事

 屋根工事、防水工事が終わり、建物に水が浸入しなくなると内外装工事が始まります。内外装工事には、下地の工事と最終的な仕上の工事に分けられます。躯体工事と仕上げ工事の間の部分と考えたら解りやすいかと思います。仕上でクロスを貼ったり、タイルを貼ったりするためには、柱や梁などに直接貼る事はできません。必ず、それらを貼るための下地をつくらなければなりません。施工方法は様々ありますが、よくあるのが、柱の間に胴縁と言われる部材を設置して、それにパネルを貼ったり、左官でモルタルを塗ったりするまでのものです。その下地が悪ければ、その上にいくら上手に仕上をしたところで、美しく仕上がるものではありません。また、下地工事がいいかげんであると、ひび割れの原因となったり、雨漏りの原因となったりしますので、けっして手を抜いてはいけません。

内外装仕上工事

 下地ができあがると、最終である仕上工事を行うことになります。この仕上工事は、建物の美しさ、風雨を防ぐもの、劣化を防ぐものです。これをおろそかにすると、不快感を与え、日常生活にも影響が出てきます。また、施工を誤ると、通常の耐久性が出なかったり、雨漏りの原因をつくったりしますので、やはり、きちんとしたものにしないといけません。

設備工事

 設備工事は、電気設備、給排水設備、空調設備などをいいます。これは、人間が快適な生活をしていく上で現代ではなくてはならないものとなっています。もちろん、自然のなすがままに快適な生活を営むことができれば一番良いのですが、現代では、設備無しでは生きていくことができません。少しでも快適な生活ができるよう最も効率よく、故障・事故が起きることなく、きちんとした工事をしなければなりません。

外構工事

 建物ができあがると、最後に外構工事を行います。この外構工事は、建物の機能をさらに有効に引き出すために整備していきます。玄関にストレスを感じることなく、安全に導くための通路・階段であったり、防犯や目隠しのための塀、敷地に高低差がある場合、地盤が崩れないようにするための擁壁などがそれにあたります。これをおろそかにすると、地震がきたときに崩壊して通行人に危害を与えたり、擁壁が崩れて建物自体が崩壊することもあります。

メンテナンス

 建物は、できあがった時から劣化が始まります。建物はできあがって終わりではなく、長く、安全に健全に使用するためには、メンテナンスが必要となります。全く、メンテナンスをしなかれば、30年しかもたなかった建物が、メンテナンスをきちんと行えば、50年、100年と飛躍的に寿命は延びます。そのために定期的な点検が必要で、不具合があれば、その都度、きちんと修理をする、材料・機器類など必ず、寿命がくるので、寿命がくる前にやり替えをする、という姿勢が大変、重要なのです。

 良い建物をつくるためには、きちんとした施工が必要です。きちんとした施工をするためには、正確な知識、つくるための鍛錬された技量、工事中、出来上がったものに対するチェック・確認が必要です。次回からは、それぞれの工事について、どのようにすれば、良い建物ができるのか、詳しく説明していきたいと思います。

ご質問やご相談は、お気軽にどうぞ。

 

お電話でのお問合せはこちら

  • お電話078-855-3871

お問合せ・相談依頼はこちら

 

お見積・申込依頼はこちら

ページトップへ
ページトップへ