どこに頼むのか

 資金・土地が準備され、どんな家を建てるかという基本方針が定まったならば、次の段階として、どこの誰に頼むのかということです。いろいろと情報が氾濫している中、身近なところに家づくりに詳しい人がいたならば、アドバイスを受けることができるのですが、そうでない人にとってみれば、路頭に迷うかもしれません。その方法を説明します。考えられる方法として、4通りあります。

  • 住宅展示場にある住宅メーカーを訪ねる。
  • 工務店を訪ねる。
  • 設計事務所(建築家)を訪ねる。
  • 不動産業者、建売業者を訪ねる。

 だいたい、この4通りがあります。それぞれ、特徴があり、良いところ悪いところがあります。ご自身のライフ スタイル、願っている家に合せて依頼するようにして下さい。どこの誰に頼むのかというので、その家づくりが上手くいくかいかないかが決まりますので、慎重に決めて下さい。

 

住宅展示場にある住宅メーカーを訪ねる

 家が欲しいと思ったときにたいていの人は、近くの住宅展示場に行くことと思います。住宅展示場には、さまざまな創意工夫を凝らしたデザインの素敵な家がたくさん並んでいます。中に入ってみるととても清潔感あふれ、明るく開放的な雰囲気の中、営業マンが笑顔で迎えてくれて、さまざまなカタログなどを見せてくれます。

 私自身も仕事柄、よく住宅展示場には行きます。特に買う予定などないのですが、本当に素敵で購買意欲をそそわれます。その中でどの家にしようかと考えるわけですが、見れば見るほど、話を聞けば聞くほど、どれも素敵ということで、どれがいいのか、わからなくなるかもしれません。

 住宅メーカーのつくる家は、実によく研究してあり、よくできています。時代のニーズを先取り、住宅工法の最先端をいくといっても言い過ぎではありません。デザイン、材料、工法、設備、どれをとってみてもそれぞれのメーカーの研究員により豊富な資金と経験により、よく研究されています。特に、最近では、地震などで住宅メーカーのものは倒壊が少なかったと聞きますが、これは、地震に対してもしっかりと研究された成果だと思います。

 窓口は、基本的には、営業マンが担当となります。最初の話しは、営業マンとすることになり、ある程度決められた規格、プランの中でラフプランを描いて打合せをするといったことが多いようです。ある程度、プランが煮詰まったら設計の人がでてきて、法規的なこと、構造的なことを設備などの詳細を詰めて、確認申請を出します。

 確認申請がパスすると工事が始まるのですが、この段階になると営業マンは、ほとんど現場にも立ち入ることなく、現場監督が担当します。現場監理は、自社で行なう場合が多く、現場監督が下請業者の仕事をチェックして、節目節目の工事が終了すると社内の監理部門の検査が入ります。

 アフターメンテナンスは、大手メーカーならば、しっかりしており、1年点検、3年点検のように竣工後、何年ごとというのが決められており、定期的に検査を行ないます。それ以外にも何か不具合がでた場合も、社内のメンテナンス部により対応することになります。

 デメリットとしては、非常に営業経費、広告宣伝費、研究開発費の割合が大きいということです。特に大手になればなるほど、他社としのぎを削って競争していますので、いかにうまく広告を出すのか、個性のある商品を開発して、集客をするかというのが死活問題になってきますので、その費用というは莫大なものです。建物代金の3割が実は、そのメーカーの広告・経費であったと聞いたら驚かれることでしょう。

 また、さきほど、規格化していると言いましたが、フリープランという謳い文句であってもやはり、プラン、仕様材料、設備、工法などに制限があります。もし、規格外のものをオプションで注文したら、びっくりするような請求書がくる事になります。

 また、設計料は、サービスをしますというのが当たり前のようになっていますが、これは、すでに建物の中に含まれていて、いわゆる経費の中にすでに組み込まれています。

 

工務店を訪ねる

 2つ目の手段として、工務店に依頼するという方法があります。工務店と言っても、いろいろなタイプの工務店があり、大工のオヤジが一人でなにもかもやりくりしているような町屋の工務店ところもあるし、一流の建築士を揃えた設計部、監理部、工事部といったそれぞれの独立した部署をった工務店もあります。ですので、これは、どの工務店に依頼するかが大きなポイントかと思われます。

町屋の工務店に依頼する場合

 町屋の工務店に依頼される場合は、いきなり、家を造って下さい、とう人は少ないのではないかと思います。多分、人の紹介であったり、近所であったり、過去に何等かの関わりがあったり、といった感じでしょうか。

 町屋の工務店のメリットとしては、小回りが利きやすいということです。職人を何人かかかえて、社長一人でやっているともなれば、何かあれば、すぐに対応してくれやすい。これが、大手メーカーであると、担当者から上司にいき、工務店にいき、工務店から職人にいきといって、実際に現場にたどり着くのに時間と手間がかかるというケースがよくあります。

 コスト的には、最も安いと思われます。大手住宅メーカーであると、先に述べたように、本体の価格に広告費、開発研究費、経費の割合が大きいと言いました。また、設計事務所であると、本体の価格以外に設計監理費が10%程度は発生します。

 町屋の工務店は、設計能力があるところはほとんど無く、設計、確認申請は、設計事務所に外注する場合が多いのです。この場合は、設計事務所が表に出てくるケースは少なく、ほとんど、工務店の下請的存在となります。したがって、設計事務所の個性は少なく、画一的でデザイン力は低いと思われます。その分、設計料は安く、確認申請料が大部分を占めることになります。

 デメリットとしては、その工務店が施工もしっかりしておれば、問題はないのですが、そうでないところもあります。現場監督が未熟で、職人は安価で請け負っているとなると、いわゆる手抜きが発生するケースも無きにもあらずです。工事監理者は形式上、名前はあるが、ろくに監理料も支払われず、名ばかりということもあります。こういうケースが最も、欠陥住宅が生まれる確率が高くなります。

 その際は、建築主が信頼のおける建築士を探し、工事監理者として置く必要があります。その分、監理料は発生します。しかしながら、信頼のおける工務店を知っていて、そんなにデザインにもこだわりがない、安くあげたいと思っている人には、お勧めかもしれません。

設計施工を一貫して行っている工務店

 工務店の中には、設計から工事まで一貫して行なっているところもあります。会社の中に専門の設計士をおいて、その設計士が施主と対応して、社内で施工まで行うというところです。

 設計もそこそこ、しっかりしていて、和風の家とか、数寄屋風の家とか、こだわりのある施工も行う。こだわりを持ち、誠実な社長と、腕の良い大工と組んで仕事をすると、良いものができます。その腕利きの大工さんもこのようなところに抱えている場合が多いです。その作風、こだわり、工法などに興味がある人にとっては、お勧めです。

 デメリットとしては、設計施工一貫であれば、施工のチェックが甘くなる場合があります。あえて、手抜きをするということはないかと思いますが、第三者のチェックが入らないと、隠蔽された部分は、どうなっているのか解らないということです。

 費用的には、こだわりのある作風であれば、その分は、高価になるかと思います。設計料は、住宅メーカーと同じで工事代金に含まれている場合が多いです。ですので、こだわりの家をその工務店のいつもマニュアルに沿って、いつもの大工が施工するならば、特殊な場合を除き、必要最低限の図面(平面図、立面図程度)しかできない場合が多いです。

 建築主は、なかなかイメージが掴みにくく、出来上がってきたら、こんなはずではなかったという事にもなりかねませんので、注意が必要です。見積書にしても自分のところで設計したものを自分のところで見積するのですから、単価も決まってしまっていて、値交渉が難しくなってきます。1式表現も多くなりますし、仕様等もいつもの通りということで、曖昧な点が多くなり、後々、トラブルになりかねませんので、契約の際にしっかりと確かめる必要があります。

 

設計事務所(建築家)を訪ねる。

 住宅メーカー、工務店と続いて、次に考えられるのが、設計事務所に依頼することです。設計事務所で設計している人を俗に言う建築家と称する人です。建築家という人は、住宅メーカーや工務店と違って、CMをしませんので、どこでどのように仕事をしているのかわからないというのが、現実のようです。現に最近でこそ、ホームページや雑誌、マスコミで取り上げられたりして、設計事務所の認知度も上がってきたような気がしますが、いまだに口コミが一番多いようです。このように建築家というのは、商売下手でとにかく、建築主のことだけを考えて、ひたすら技術の研鑽、知識の向上に励んでいる人が多いようです。

 そういうことで、個人的に建築主のことを一生懸命に考えて、アイデアを出し、図面化し、これに対して、建築主は、報酬を支払うという仕組みです。ですので、良い建築家は、とことん、建築主の事を考えてくれます。住宅メーカーの営業マンとか、工務店の社長のようにノルマとか売上げを気にすることも少ないです。しかし、生活費もでないようでは、仕事もできなくなりますので、限界はありますが。

 設計事務所は、基本的に設計をするのが業務ですので、ひたすらプランの提案し、それを図面化したり、パースを描いたり、あるいは、模型を作ったりします。本当に世界で一つしかない個性的なこだわりの家が欲しいと思えば、建築家に依頼すべきだと思います。また、建築主の身になって、ほんとにいろいろな話しを根掘り葉掘り聞き出します。それにより、その人に最も相応しいプランを提案するのです。

 建築家の設計する家は、完全自由設計ですので、規制も制限もありません。土地が特殊な形状であっても、それに応じた提案をします。ですので、特別に土地が狭いとか、傾斜地であるとか、こんなこだわりがあるとかいう人でしたら、建築家に依頼すべきでしょう。何度も何度も図面を描き替えては、根気よくお付き合いをしてくれます。

 ただ、注意すべきことは、個性の強い建築家は、いったん依頼されると自分を完全に信頼されているものと錯覚し、勝手にやってしまうとか、実験的に新しいことをやり、これが、素晴らしいのですよと丸目込み、できあがってから、こんなものを頼んでいないのに勝手にされたとトラブルになることは、よくありますので、十分な注意が必要です。

 設計事務所は、設計するだけですので、工事は行ないません。工事は、工務店が行なうのです。その工務店は、別に建築主が探してきてもよいし、建築家もしくは、知人などにも紹介してもらってもかまいません。設計事務所が描き上げた図面をもとにして、3社程度の競争見積をする場合が多いです。

 数週間たって、見積ができあがるのですが、その見積書の内容もチェックもその建築家がしてくれます。そのチェックデーターをもとにして、あなた自身で工事をしてくれる工務店を決定します。その工務店の決定のしかたは、後で述べることとします。

 建築家に設計の依頼をした場合は、工事金額とは別に設計・監理料というものが発生します。これは、文字通り、設計をした報酬と、工事が始まってから、建築主に代わって、図面通り、仕様書・見積書通りに工事が行なわれているかどうかをチェックしてくれます。ここが、住宅メーカーや工務店に依頼した場合と大きく異なる点です。

 設計事務所が監理をした場合は、第三者の立場で現場を見てくれるので、手抜き工事が減ります。ただ、図面を多く描かなければならない、仕様書もきちんと作成しなければならないなど、事務的な作業が多く発生しますので、設計期間が他と比べ長くなります。その分、費用もかかることになります。その費用は、通常、工事金額の10%から15%くらです。

 また、建築家に依頼する場合は、その建築家とは、家が続く限りは、一生お付き合いすることになるので、気が合うのかどうかというのが大きなポイントになります。友人とは、すごく気が合ったみたいで、とても素敵な家ができたのに、自分とは、全く合わずにでたらめな家できたというのも少なくはありません。また、その建築家の技量により、家の出来不出来が大きく違ってきます。これもどのようにして、その建築家を決めるのかが大きなポイントです。

 

不動産業者、建売業者を訪ねる。

 最後に不動産業者、建売業者を訪ねる方法があります。特に土地から探す場合の人にとってみれば、まずは、不動産業者のお世話になることになります。しかしながら、適当に良い広さ、価格、便利さの土地というのは、建築条件付土地として、すでに業者により押さえられいる場合が多いのです。そういう場合でも、最近では、建築家と創るフリープラン、自由設計の家というのを売りにしてよく広告に出ています。

 建築条件付となると住宅メーカーと似ている部分があって、フリープランといえど、使用のメーカー、材料とか工法などある程度は、制限されています。建築家といえど、建築主側から指定することはできませんし、工務店も決められいます。価格設定もされており、オプションを要求するとべらぼうに高い値段を言われる場合がありますので、極力避けるべきです。しかしながら、もし、条件が適合しておれば、お買い得ということになります。

 工事が始まると監理は、その業者が行なうことになりますが、これも設計施工一貫の場合と同じで、外部からのチェックが入らないので、ミスをして隠蔽したとしても解らない場合が多いので、第三者の専門家にチェックしてもらった方がよいかと思います。

 

 以上が、住まいづくりをするときにどこの誰に頼むのかということを説明しましたが、どのようにして、探すのかということが重要になってきます。最近では、インターネットがすごく普及されていますので、一番、それが早く確実な気がします。

 ほんとに頼んで欲しいと思う業者は、それだけ情熱的なホームページを作っているでしょうし、仕事への取り組み方、考え方、過去の作品、実績なども詳細に出ていることでしょう。

 他の方法としては、雑誌、広告、口コミなどがありますが、いずれにしても、必ず、事務所を訪ねて、じっくりと話しを聞いて、過去の作品など自分の目でも確かめてみることです。そして、仕事に対する情熱がどれだけあるのか、どれだけ人の話しを聞いて、誠実に対処してくれるのか、その判断は、あなたしかありません。そして、この人と決めたならば、とことん信じて、一緒になってつくりあげゆくという気持ちでやってゆくべきです。

 一生に一度の大きな買物です。誰と取り組むのか、それが成功するか否かの大きなポイントとなります。あせることなく、じっくりと考えて、この人という人に出会えるまで、粘り強く取り組んで下さい。

 

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