建築士の仕事と報酬

 住まいを建てようとするとき、必ず、深くかかわる人が建築士です。その建築士というのが、どういう資格でどういう仕事をするのか説明します。

 建築物の設計、工事監理等を行う技術者の資格を定めて、その業務の適正をはかり、もつて建築物の質の向上に寄与させることを目的として、建築士法が定められました。この法律により、建築士には、一級建築士・二級建築士及び木造建築士の3種類の区別があります。

 

一級建築士

 一級建築士は、特殊な場合を除き、あらゆる建築物の設計・監理をすることができます。建築関係の資格の中で最高峰の資格です。一級建築士でなければ設計・監理できないものとは、

  • 学校・病院・劇場・映画館・公会堂・集会場・百貨店の用途に供する建築物で、延べ面積が500m2を超えるもの
  • 木造建築物または建築の部分で、高さが13mまたは軒の高さが9mを超えるもの
  • 鉄筋コンクリート造、鉄骨造、石造、れん瓦造、コンクリートブロック造もしくは無筋コンクリート造の建築物または建築の部分で、延べ面積が300m2、高さが13m、または軒の高さが9mを超えるもの
  • 延べ面積が1000m2を超え且つ階数が2階以上のもの

 

二級建築士

 二級建築士においては、延べ面積が30m2から300m2までの鉄筋コンクリート造、鉄骨造、木造の建築物の設計・監理ができることとなっています。

 

木造建築士

 1984年に制定された比較的新しい国家試験ですが、木造1階または2階で延べ面積300m2以下の小規模木造建築物の設計・監理を行うことができます。

 この他に構造をさらに専門的に扱う、構造設計一級建築士、設備をさらに専門的に扱う、設備設計一級建築士があります。

 

建築士の仕事

 建築士の仕事としては、一級・二級・木造建築士と区別、建物の規模の違いがあったにしても、すべき事は、同じです。

  • 建築主の要望をじっくりと聞き、助言を与え、基本設計を行う。また、基本設計に従って、実施設計をも行う。
  • 建築主に代行して、建築確認申請を行う。
  • 設計図書が完成すれば、建築主に、設計内容の説明、設計図の見方等の説明をする。また、建築士が概算見積した価格が建築主の予算内でできるかどうかも説明する。
  • 見積依頼を建設会社に出す。その際、建築士は、その内容、支払い条件、工期、見積提出期限を建築主に説明する。建設会社より提出された見積書の内容をチェックし、その金額が適切であるか否かを判断する。
  • 見積書の内容のチェックが済み、建築主と建設会社との間で工事費他、条件が合意すれば、工事契約がなされる。この際の契約書には、工事監理として、建築士も署名捺印する。
  • 工事契約が成立すると、はじめて工事が始まるが、その施工が設計図書通りかどうかの検討・助言・指示を行う。
  • 建設会社の請求する工事費の請求書を技術的に審査し承認する。
  • 工事中の設計変更による工期、工事費などを技術的に処理・検討する。
  • 工事竣工時の検査・確認と完成住宅の引渡しの立会いを行う。

などです。以上が建築士の仕事、監理業務であり、建築主の代理として公正な立場にたち建築会社の間にたち、工事を順調に進める義務があります。工務店に言いにくいことでも、建築士を通して申し立てすることもできますので、何かありましたら、遠慮することなく申し立てすればいいでしょう。

 また、世の中には、建築士の資格もない人が、あたかも建築士と装い、名義だけを他人のものを使ったり(いわゆる名義貸し)、架空の名義を使ったりして設計・監理を行なっている人もいるので、依頼する際には、建築士登録番号、建築事務所登録をきちんとしているかどうかを確認しましょう。一級建築士登録は、国土交通省、二級建築士登録及び建築事務所登録は、都道府県庁が管理していますので、調べる事もできます。

 

建築士の報酬

 さて、以上が建築士の仕事なのですが、これだけの仕事をしてくれる建築士には、どれくらいの報酬なのでしょう。

 平成21年国土交通省告示第15号の公布によりその基準が示されました。これは、設計・監理に必要な日数と経験年数により受け取ることのできる一日の任意の金額を乗ずることになっています。その日当は、経験、実績により、一級建築士でだいたい3万円から5万円です。それに事務所経営、会社経営している場合ですと、経費などが乗ってきます。

 設計監理料(建築士の報酬)は、平成21年国土交通省告示第15号にて定められています。国土交通省より建築主向けパンフレットが出ていますので、こちらもご確認下さい。詳しくは、こちら

 設計事務所が設計・監理をする場合は、規模・構造・仕様などによっても違うですが、だいたい工事費の10%から15%程度が一般的かと思います。規模が小さくなると比率は、上がりますし、規模が大きくなると比率は、下がります。一般的に実施設計に入る前に確認が必要です。

 家づくりというのは、千差万別、全ての物件により違いがあり、個性があります。一概に物差しで計れるものではありません。建築士と呼ばれる人は、10年・20年、常に建築主の事を考えながら切磋琢磨、技術・感性を磨いてきた人達ばかりなのです。お金で割り切れるものではなくて、単に、スーパーで買物をするというわけにはゆきません。

 建築士に対する報酬、設計事務所に対する費用が、人によっては、非常に高いものと思われるかもしれません。しかし、あなたと共に親身になって考えて、これから、10年・20年とお付き合いが続いてゆきます。家という高価な買物をするときに、親身になって相談に乗ってくれて、失敗が少しでも防げると考えれば、決して高いものではないと思います。

 

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