引渡し

 工事が終了すると、いよいよ引渡しという事になります。いろいろと苦労して念願のマイホームが手に入るのですが、施工者側から、「はい、工事が終了しました。どうぞ、お入り下さい。」というわけにはいきません。入居前には、いろいろな手続きが必要です。入居してからトラブルの無いよう、気持ちよく使えるように、いろいろと注意すべきことがあります。

 

竣工検査

 役所や第三者機関が行なう工事の完了検査とは別に建築主の竣工検査というのがあります。これは、施工者、設計・監理者の立会いのもと、建築主が、最初の打合せ通りの仕様書・図面通りに仕上がっているかどうか、キズ、汚れなどないかどうか、設備など正常に作動するかどうかをチェックするものです。この検査により不具合があれば、手直しして、これでOKとなったときに引渡しということになります。

 竣工検査の場合は、構造、下地部分は、すでに見ることはできません。これは、工事中にすべきことです。特に仕上げ部分、設備の作動状況を見ます。その竣工検査時のチェックポイントをあげてみます。

 

外部に関して

  • 外壁にキズ・ムラ・汚れなどがないか
  • 開口部まわりのコーキングは適切になされているか
  • サッシュ、ネットフェンス等にキズ、汚れなどないか
  • 基礎コンクリートにひび割れはないか
  • 仕様書・図面通りに施工されているか
  • 屋根材料に割れ、不陸、汚れはないか
  • 雨仕舞いは適切になされているか
  • 設備機器が仕様通りか、正常に作動しているか
  • 外部設備配管が適正か

 

内部に関して

  • 壁・床・巾木・建具・家具にキズ・ムラ・汚れ・不陸などがないか
  • 建具は正常に開閉するか
  • 仕様書・図面通りに施工されているか
  • 設備機器は正常に作動するか、水漏れはないか

 これらの検査は、結構、時間のかかるものなので、ゆっくりとした時間を打合せをして、天気の良い昼間の明るい時間に行ないます。また、建売住宅やハウメーカー、工務店などの引渡しで自社のみの場合であれば、中立な視点から検査ができませんので、第三者の建築士に同行してもらう方が良いでしょう。

 この検査を行い、不具合が出た場合は、手直し工事をやってもらいます。再検査後、うまく直せておれば、いよいよ引渡しという事になります。

 

引渡し書類、図面のチェック

 竣工検査で合格となると引渡しとなりますが、その際に必要な書類が多々あります。その必要な書類とは、

引渡し書 工事が、全て完了し、引渡しをすることを証明したもの。
建築確認申請書 建築基準法に適合しているかどうかを申請し、適合しておれば、確認済証が発行される。正本は、確認をした確認検査機関に保存されている。後に、転売するとき、増改築する際にも必要になってくる。
中間検査合格証 木造であれば、建て方が終わり、耐力壁、金物を設置後に、その建物が図面通りに建築基準法に適合しているかどうが検査し、適合しておれば、合格証が発行される。
完了検査済証 建物の工事が終了し、その建物が図面通りに建築基準法に適合しているかどうが検査し、適合しておれば、検査済証が発行される。
鍵引渡し書及び鍵 その建物の鍵と鍵の位置を記したリスト
下請業者一覧表 その建物に関わった、下請け業者のリスト。大工、屋根、左官、建具、タイル、設備など全ての業者の連絡先が書かれている。何か、不具合が生じた場合には、元請の工務店に連絡するのであるが、水道、ガスなどの緊急を要する場合には、直接連絡しても良い。
各種保証書 防水、白蟻、地盤改良、各種機器の保証書がある。何か不具合が生じた場合に必要になってくる。
工事監理報告書 工事監理者が、全ての業務が終了すると、建築主に監理報告を行う。その際に工事中の監理記録、写真を整理し、工事監理報告書として提出する。
竣工図面 契約図面通りに施工されておれば問題ないのであるが、工事が始まってから、よく変更される場合が多い。その際に実際にどうように出来上がったのかを訂正した図面。後日、増改築したり、転売する際に必要になってくる。

 その他として、住宅瑕疵担保付保書、取得しておれば、住宅性能評価書、長期優良住宅証書なども必要である。これらの書類は、後に増改築する際、転売する際に、必ず必要な書類ですので、きちんと揃っているかどうかを確認しましょう。内容を確認してから、施工業者及び設計監理者に支払をして、引渡しとなります。

 

引渡し後の手続き

 建物を引渡しされた後、入居ということになるのですが、その後にもいろいろな手続きが必要です。水道・ガス・電気などの生活設備の手続き、住居表示の手続きはもちろんのこと、登記の手続きをします。1ヶ月以内に表示登記を行い、さらに保存登記の手続きをします。そこで登記済書(権利書)の交付を受けて、この建物が間違いなく自分のものであるという確認をします。

 また、融資を受ける場合ですと、抵当権設定登記が必要となってきます。これらの手続きは、専門知識が必要ですので、専門家(土地家屋調査士、司法書士)に依頼します。

 

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